No.2143 神戸駅前での不思議な出逢い

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今朝。

予定より早く神戸駅に着いたので、
ちょっと一服をしに
駅前のドトールコーヒーに入った。

店内はけっこー人がいっぱいで、
特に喫煙席は時間を持て余した様子のおじさんだらけ。
なんとなく「座りにくいなぁ…」と感じたけれど、
注文した紅茶を飲まないわけにもいかなかったので
唯一空いていた席に腰を下ろした。


すると、席に座って10秒後、
突然右隣からあやしい声が…。



   「すぅみませ〜ん」



声の方向を見ると、
フランケンシュタインのような顔をした
いかにもあやしい感じのおじさんが僕を見つめていた。



 「えっ!? …はい、僕ですか?」



   「腕時計を、見ぃせて、もらえまぁすかぁ〜」



意図のわからない突然の質問に
思わず心の中で緊張が走った。



 「えっ…、いやっ、僕、腕時計してないんですけど…」



   「その、腕にしてるのは、なんなんですかぁ〜?」



 「あ、これですか? えーっと…腕輪といいますか、」



   「そうですかぁ〜。
    いつも時間はケータイで見る派ですかぁ〜」



 「え、ええ…、まぁ…」



完全に「変な人にからまれてしまった」と思った僕は、
なるべく早めに店を出るために
尋問に答え続ながら紅茶を飲み続けた。


すると、今度は
フランケンの連れ合いらしき爺さんが
僕に話しかけてきたのだ。



     「兄ちゃんよぉ、タバコ、何吸ってるん?」



 「えっ…、マイルドセブン、ですけど…」



     「ワシもや。
      タバコ、値上がりするなぁ。どうするん?」



 「えーっと、どうしましょうね…」



     「ワシはやめへん。肺に穴はあいとるけどな。
      実はこの間、大学病院に行ってきてなぁ、」



爺さんの話を聞かされている間、
フランケンも相づちを打ち、僕もうなずくしかなく、
いつのまにかその座席空間は
グータンヌーボのような3人のティータイムの場に。

最初は金品でも要求されるのかと警戒していたけれど、
話しているうちに(ちょっと変だけど)
悪い人ではないこともわかってきた。



     「コイツにオメガの時計を買ってやったんだけどよぉ、
      『もういらねー』って言うんだよ」



   「だってね〜、すぐ〜、時間が狂うんですよぉ〜」



 「あ、だから僕の腕時計を見たかったんですね?
  でも、オメガなんて高いからもったいないですよ」



腕時計の話や病院の話、
それから15分ぐらい3人で花を咲かせただろうか。

最初は、からまれた僕のことを見て
「あの人かわいそうに」と見ぬふりをしていた周りの客も、
変に話が盛り上がっている僕たちの様子を
不思議そうにチラ見していた。



 「あっ! そろそろ行かなきゃ。
  すみません、じゃあ、僕行きますわ」



   「そぉですかぁ〜、すみません、でしたねぇ〜」



     「ワシはまだ生きるぞ! 兄ちゃんも元気でやりや〜」



店を出た後、
不思議と心が軽くなっていた。

どこにでもありそうな、
小さなドトールコーヒーでの話。

変わった出会いだったけれど、
また会えたら3人で煙草を吹かしたいな。