No.2206 娘の「ちゅー」と父の苦悩

最近、娘に「ちゅー」を教えている。

嫁からは
「やめて。○○ちゃん、女の操(みさお)を守り!」
と言われるけど、関係ない。

娘のファーストキスの相手は
お父さんと決めているのだ。

娘は教えられたとおり、
「ちゅー」としてくれる。

ああ、いずれはお前も成人し、
その唇を誰かに…。

 娘「(ガチャ)ただいま」

 父「ああ、お帰り。遅かったな。どこに行ってたんだ?」

 娘「別にいいでしょ。」

 父「よくないだろ。誰と一緒だったんだ?」

 娘「もぅ、関係ないでしょ!」

 父「バカヤロー! 関係ないわけないだろ! 親子関係だ。
   ん? なんだ、その口紅の乱れは…」

 娘「えっ!? なんでもない…よ…」

 父「…! まっ、まさかお前…」

 娘「…」

 父「う…嘘だよな?」

 娘「彼とちょっとキスしただけじゃない。
   もう子供じゃないんだからいいでしょ。
   私、もう寝るから。おやすみ」

 父「(彼とキス!? 彼とキス!? 彼とキス!? 彼とキス!? 彼とキス!?
    彼とキス!? 彼とキス!? 彼とキス!? 彼とキス!? 彼とキス!?
    彼とキス!? 彼とキス!? 彼とキス!? フレンチキス!? ディープキス!? )
 
     ちょっ、ちょっと待ちなさい!!」

イヤぁぁぁ!

まだ10数年ぐらい先の話だとしても、
父としては悪夢のような展開だ。

それまでに僕は、相当の心の準備を
しておかなくてはならないのか。

娘を持つすべての父親が通る道だとしても、
なんて残酷な試練なんだろう。

小さな唇を見つめながら、
毎日心の準備トレーニングを続けている。