No.2315 募金をした男の子 〜心を形にする大切さ〜


中学生ぐらいだろうか。

今日の朝。
学生服を着たその男の子は、
駅までの道を急ぐ僕の前を歩いていた。

駅前の広場には、
今日も募金箱を持った市の職員が
募金を呼びかけていて。

その様子に気づいた瞬間、
男の子は少し離れた場所で立ち止まった。

やがて、彼は学生カバンの中から
マジックテープがボロボロになったお財布を取り出して、
中にある小銭を数え始めて。

1枚、2枚、3枚…、
すぐ数え終わってしまうぐらいの
小銭しか入っていなかったと思う。

財布の中身をじっと見つめたまま
何かに迷うように少し立ち止まった彼は、
次の瞬間、募金箱に向かって歩き始めた。



 「ありがとうございまーす!」



彼が小銭を募金箱に入れた瞬間、
職員が大きな声でお礼を言った。

少し照れくさそうに、
駅のホームへと足を進める彼。
その表情は、どこかうれしそうだった。



そんな彼の行動に気づいていたのは、
僕だけではなかった。

一旦ホームに向かおうとしていたサラリーマンも、
彼の様子を見てから、戻ってきて募金をした。

二人組の女子高生も、競い合うように
募金箱に小銭を入れた。

急いでいたけど、僕も小銭を箱に入れた。



震災後、一般企業がCMを自粛している関係で、
AC(公共広告機構)のCMがよく流れている。

そこで流れている言葉が好きだ。
「こころは誰にも見えないけれど、こころづかいは見える」。

中学生の男の子が
心を見える形にしてくれたおかげで、
他の人の心まで動いた。

今やるべきは、こういうことだと思う。
思っているだけじゃなく、
まずは言葉にしよう。声に出そう。

そうすれば、必ず新しい力が生まれる。
それが、復興の力になる。