No.2638 もう1つの「今日のおはなし」

「今日のおはなし」はほぼ毎日、
正確に言うと、土日以外に毎日お届けしている。

でも、実は僕には
土日にも「今日のおはなし」を考える使命がある。

毎週土曜日と日曜日の夜。

子どもたちを風呂に入れ、
寝かしつけるのは僕の役目。

それは、平日あまり家にいない僕の
罪滅ぼしのような意味もあり、
土日ぐらい嫁を休憩させてやるための配慮でもあり、
子どもたちにとってはお楽しみの時間でもある。

 「さ、もう遅いから電気消すで」

     「は〜い」

夜、寝室で灯りを消し、
子どもたちの間に寝転がると、
息子か娘、どちらかが必ずこう言うのだ。

     「おとーさん、
      きょうのおはなし、なに?」

 「そうやなぁ、
  今日は、宇宙の話しよか」

子どもたちが寝つくまでの間、
僕は天井を見上げながら
“きょうのおはなし”をする。

それは、こうして文章で書く「今日のおはなし」とは違い、
内容も深いものではないけれど、子どもたちは
時にはクスクスしながら、
時にはじっと耳を澄ましながら僕の話を聞いている。

僕が死ぬ日が
平日になるか休日になるかは分からないけど、
もしも平日なら「今日のおはなし」、
休日なら「きょうのおはなし」が遺言ということになるだろう。

最期の言葉が
「ウルトラマンって強いで」とかにならないように、
できるだけ平日に幕を引こうと思う。