No.2744 引っ越し前に、思い出を整理して。

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引っ越しの箱詰めをしていたら、
忘れていた色々なものが出てきた。


 中学時代から録りためたカセットテープ。

 高校の修学旅行のしおり。

 実家を離れた僕を応援する
 地元の後輩からの手紙。

 大学の授業でまとめたレポート。

 バーテン時代の給与明細。

 阪神淡路大震災で亡くなった知り合いが
 生前に作ったぬいぐるみ。

 彼女(今の嫁)と
 初めて旅行に行った時の写真。

 初めて沖縄に行った時に
 ペットボトルに詰めた海水と砂。

 初めて買った車に常備していた
 ガソリンスタンドのカード。

 大学卒業時にもらった
 履修科目証明書。

 アメリカ大陸を横断した時に
 胸につけていたピンバッジ。

 新卒で入社した会社で使った研修資料。

 一人暮らし時代に活躍した
 留守番電話のテープ。

 広告で初めて賞を獲った時に
 もらった表彰状。

 転職活動中に使っていた履歴書の写真。

 結婚式に出席できなかったおばあちゃんが
 僕に託した手紙。

 アラジンの彼女にもらった
 ミサンガと腕時計。そして、手紙。


毎日使うものでもないし、
捨てられるものかもしれない。

でも、全部捨てられなくて、
丁寧に段ボールに詰めた。



箱詰めに疲れたので、
昨日の夕方、子どもたちと散歩に出かけた。
次の休日はもう引っ越し当日なので、
近所を散歩をするなら最後だと思ったから。

ビデオを片手に、
まずは川の堤防をかけ上がる。

堤防の上は景色が良くて、
よく子どもたちと腰を下ろして
東西に走る新幹線の車両を眺めた。

「新幹線は右から来る」「いや、左から」なんて、
賭けをして遊びながら。
最後の賭けは、娘の勝ちだった。


川原に下りると、
たくさんの花が咲いていた。
5年前、今の場所に引っ越してきた時と同じ
名も無き花が。

1歳でヨチヨチ歩きだった息子を連れて、
よくこの川原を歩いた。

娘が産まれてからは、
兄妹がかけっこをする
競技場のような場所で。

娘を追いかける息子を後ろで眺めながら、
なんとも感慨深くなった。


いつも、川にはカルガモの家族が泳いでいて、
僕たちは最後に「カモさん」に
挨拶をしに行くことに決めていた。

でも、残念ながらカモさん一家は
どこかに行って居なかったので、
息子が大きな声で
「カモさん、ばいば〜い!」と叫び、さよならを告げた。


そこから堤防を上がると、
眼下に公園が見えて来る。
地元の子どもたちのホームグラウンド、
何度も遊んだ公園だ。

到着するやいなや、
子どもたちは遊具に別れを告げるかのように、
一つ残らず乗って遊んでいた。
僕はその様子を、ビデオカメラにおさめた。


公園から少し歩くと、
大きな大きな木が見えてくる。
トトロが住んでいそうな大木の下にあるのは、
地元の神社。

出産、入学、ケガ、卒業、
何か節目があるごとに
よくお願いごとをしに来た。

この間、息子が骨折した時も
娘と二人で「はやくなおりますよーに」と
お願いしに来たばかりだったけど、
ここに来るのも、きっとこれで最後。

息子と娘が交互に神社の鈴を鳴らし、
「今までありがとうございました!
 引っ越しして、次の神様と暮らします!」と
地元の神様に挨拶をした。


そこから
おじい&おばあが住む古い集落を歩き、
すれ違った人に挨拶をしながら、自宅へ到着。

最後の散歩が終わった後、
色々な思い出がよみがえってきたけど、
なるべく後ろを振り返らないように
夜まで段ボールの箱詰めを続けた。

引っ越しまで、あと3日。
日常のすべてが輝いて見えてくるから、
不思議だ。