No.3079 息子と交わした男の約束


昨日、リビングで
息子が娘と暴れて遊んでいた。

「あぶないからやめなさい」と僕。
「もぅ、物壊すから」と嫁。

テンションの上がった子どもとは
そんな親の忠告なんて耳に入らないもので、
その後もボールを投げたり、
ソファで跳びはねたり暴れていた。

数分後、起こるべくしてそれは起こった。

暴れた拍子に、
息子がネジで取り付けていたカーテンレールを
バキッっと壊してしまったのだ。

思いっきり叱ると、わんわん泣き始める息子。

その前の日から同じようなことを
何度もやらかしていたこともあり、
「どうしたらエエか自分で考えろ!」と突き放して
しばらく席を外した。

数分後、部屋に戻ると、
息子が恐る恐る近寄ってきて、
「お…とう…さん、これ…」と何かを渡してきた。

息子の手の平にあったのは、“小銭の山”。
額にして、せいぜい数百円程度だったけど、
どうすればいいか色々と悩んだあげく、
自分のお財布にあった1円玉や10円玉をかき集めてきたんだろう。

息子なりの精一杯を感じて
ちょっと胸がせつなくなった。

でも、父として教えなければいけないこともある。
毅然とした態度で、
数百円ではカーテンレールが買えないことや、
世の中には自分では戻せないこともあることを説教した。

その後、娘と風呂に入っていると、
脱衣場で息子がシクシク泣いていた。

迷ったけれど、仕方なく、
「いつまでも泣いてないで、はよ入れ!」と
風呂に入れてやった。

湯船の中で頭を撫で、
もう一度、どうすれば良かったのかを説明しながら。

風呂上り。

小銭の山がまだ机の上に置いてあったので、
息子を呼んで財布の中に入れさせた。

こう約束をして。

 「今回はお父さんが立て替えてやるから、
  10年後、サッカー選手になって
  お父さんに100万円払え。エエか?」

目を潤ませながら、息子はコクリと頷いた。

男と男の約束である。
必ず守ってくれるはずと、期待している。