No.3078 沖縄の「島言葉(しまくとぅば)」は方言じゃない

 「コンビニや まーんかい あいびーが?」
 

   「うんちけー さびら」 

 「にふぇーでーびる」  

この言葉の意味わかる?
正解は

「コンビニはどこですか?」「ご案内します」「ありがとう」、
沖縄の島言葉(しまくとぅば)だ。

日本語に慣れた僕たちには、
意味などまったく分からない。

そう、島言葉とは
日本語をベースにした沖縄の“方言”と思われがちだけど、
そうではない。
ユネスコも、れっきとした“言語”として認めている。

同時に、ユネスコはそうした地域文化を反映した少数言語が
絶滅することに警鐘を鳴らしている。

僕らが今使っている日本語のルーツを辿れば、
九州の北部にたどり着くらしい。

大昔にそこで使われていた言葉が「南」や「東」に広がり、
近畿あたりで言語として成長。
それが再び全国に広がったのが現在の日本語だそうだ。

ただ、そこで忘れてはならないのは
九州の北部から「南」に広がった言葉の存在。
それらは日本語が広まる前に、
奄美や沖縄、八重山へと広がって
それぞれの土地でアレンジされつつ定着した。
島言葉の誕生だ。

今でも、沖縄には大きく6種、
細かく言えば800を超える数の島言葉がある。

その言葉を操ることができるのは
大半が70代以上のお年寄りで、寿命の関係もあり、
ユネスコの言うとおり絶滅の危機が迫っている状況だ。

それを受けて、沖縄県もついに動き出した。

絶滅回避のために
公共の場でも島言葉のアナウンスを流すなど、
県内あちこちで普及活動が盛んに行われている。

でも、なかなか追いつかない。
理由は簡単。小学校で文部科学省が
「教えなさい」と言っているのは日本語と英語だから、
若い世代は島言葉を話せないのだ。

島言葉の問題も含め、
この先沖縄がどうしていくのか。
専門家の間では、そのヒントは
スコットランドにあるという見方が強い。

イギリスや日本と一緒になる前、
かつては独立していた王国だったこと。

一緒になった後、核兵器を積んだ潜水艦や
軍事基地を押し付けられていること。

それでも独自の文化を守り続けていること。

スコットランドと沖縄は、
色んな意味で共通点があるからね。

スコットランドの母語であるゲール語、

「Ciamar a tha thu/sibh?(ご機嫌いかが?)」
「Tha gu math.(元気ですよ)」

やはり島言葉と同じように、意味がわからない。
英語の方言ではなく立派な言語なんだよね。
それが認められているから、
スコットランドでは英語と並んで公用語扱いになっている。

沖縄の島言葉はといえば、
悲しいかな、今も地方の“方言”扱いで
学校での教育も行われていない。

沖縄県の人口は、日本全体の人口の1%。
1%の声は、なかなか反映されないのが実情だ。

あまり報道されていないけど、実は、
国連人種差別撤廃委員会というところが日本政府に対して
「先住民である沖縄の人々の言葉や文化を尊重すべき」
という勧告を出している。

つまり、島言葉を“言語”と認めて
教育の場でも教えることを許可しなさいというもの。
これに対し、日本政府はここまでノーコメントを貫いている。

沖縄県知事も変わったし、衆議院も今日解散する。
消費税以外のことについても、変化を期待したいな。
沖縄の正念場は、これからだ。