No.3262 キャッチコピーコンテストの作り方


 「皆さん、こんにちは。
  『なんでも3分間クッキング』、
  今日のゲストはsunny-yellow代表のH先生です。
  先生、よろしくお願いします」

   「お願いします」

 「今日は、先生が過去100回以上も作ってきたという
  『キャッチコピーコンテスト』の作り方を
  教えていただけるそうですが」

   「ええ、たまに
    『どうやって作ってるの?』と聞かれるので、
    今日は思い切ってレシピを公開しちゃいますよ」

 「楽しみですね。それではお願いします」
 

   「はい。まずは、
    料理の元となる“お題”を一つ用意します」

 「先生、お題というのは何でもいいんですか?」

   「はい、基本は
    過去に一度もやっていないもので、
    誰でも分かるお題なら何でも構いません。

    ただ、過去100回以上やってますから、
    念のため、自分でホームページを見ながら
    『このお題、まだやってないよな?』と
    チェックすることを忘れないでください」

 「なるほど、他にはありますか?」

   「あとは、例えば『赤いピーマン』のように
    あまりお題がピンポイント過ぎると、
    キャッチを考える範囲が狭くなって
    多様な作品が生まれにくくなります。
    逆に『人生』のように壮大すぎると
    何から考えていいか分かりにくくなりますので、
    “程良いお題”を用意するようにしてください。

    季節や時事など、今だからこそみんなで
    考えてみたいことを入れるなどの工夫も必要ですね」

 「お題が用意できたら、
  次はいよいよ募集ですか?」

   「そうですね。
    お題とともに〆切を発表したら、下ごしらえは完了です。
    あとはしばらく待ちましょう」

 「先生、良いコンテストに仕上げるには
  ある程度の作品数も必要になると思いますが、
  これっばっかりは皆さんの応募意欲にもよりますので、
  自分ではどうしようもないですよね?
  私、なんとなくソワソワして落ち着かないのですが…」

   「料理は愛情、その前に辛抱です。
    しいて言うなら、この段階でできることは
    毎日のおはなしの最後で
    ヒントになる言葉&応募率を知らせることぐらいです。

    ちなみにヒントとなる言葉は、
    粗いぐらいの表現がちょうどいいですね。
    ヒントの時点で主催者が色んな切り口を出し尽くしてしまうと、
    応募者が表現する余地がなくなりますからね」

 「なかなかさじ加減が難しそうですが、
  とにかく待つという基本姿勢が大切ですね」

    

   「待っていても応募ペースが鈍い時は
    胃が痛くなることもあると思いますが、
    そんな時は“プッシュメール”で
    やる気を起こしてもらうようにしましょう。
    忙しい日々の中で、
    単に忘れているだけの人も多いですからね」

 「たしかに、プッシュメールをもらって
  初めて『考えなきゃ!』と思うことも多いです」

   「そう思ってもらえる内容を
    プッシュメールで送ることが大事ですね。
    これはある意味、
    主催者だけのキャッチコンテストみたいなもんです。
    プッシュという名目ではありますが、
    毎月一度、友人とやりとりする機会って貴重だと思いますよ」

 「そう言われたらそうですね。
  みんな大人ですし、コンテストがなければ
  なかなか連絡する機会がないかもしれませんもんね。
  先生、プッシュが終われば
  あとはひたすら待つだけですか?」

   「基本はそうですが、
    せっかくなので待っている間に
    自分なりのキャッチを考えてみてください。
    主催者も、応募者気分でトライした方が楽しいでしょうから」

 「でも、自分がキャッチを考えている途中で
  次々と応募作品が寄せられてきたら、
  何と言うか、その作品に
  インスパイアされてしまうんじゃないですか?」

   「いい質問ですね。
    そうならないように、応募が届いた段階では
    詳しく作品を見ないようにしてください」

 「見ないように、ですか?」

   「届いた作品をとりあえず順次コピーして
    1枚のテキストファイルの中に並べていくだけで結構です。
    この時、作者の情報は入れてはいけません。
    『誰が作ったか』に左右されるのではなく、
    純粋に作品の良し悪しだけで選ぶことが大切ですからね。
    結果的に、同じ作者の作品をたくさん選んでしまうことも
    あるかもしれませんが、
    作品本位なのでそれは仕方ないでしょう」

 「なるほど。
  作品が集まったら、いよいよ“選考”だと思いますが、
  具体的にはどのように進めたらいいんですか?」

   「まずは、
    先ほど用意した応募作品の一覧ファイルを開いて、
    一本一本じっくりと味わってください」

 「一本一本ですか。
  応募多数の時は時間がかかりそうですね」

   「たしかに時間はかかりますが、
    どれも個性があって面白いので、
    選ぶ側としては至福の時間に感じるはずです。

    選び方としては、最初から厳選しようとはせず、
    まずは自分の中のボーダーラインを超えている作品は
    すべてピックアップしていってください。
    それが言わば『一次通過作品』というわけです。

    次に、一次通過した作品リストの中から、
    “お気に入り”の順位を決めていってもらいます」

 「いよいよ順位づけですね。
  選考順位は、やっぱり1位から順に決めていくんですか?」

   「ええ、基本は一番から順にランク付けしていきますが、
    私の場合、稀に
    『あ、コレは1位じゃないけど、なんかええやん大賞やな』と
    直感的に順位を決めることもあります」

 「ぶっちゃけ、その日の気分次第で
  選ぶ作品が変わったりはしないんですか?」

   「人間ですから、
    テンションに左右される時もあるでしょうね。
    だからこそ、気分や体調で選考が左右されないように、
    一度順位をつけた後には
    “寝かせる”ことを忘れないでください」

 「寝かせるとは、つまり、
  1日放置するということですか?
  まさに、カレーやシチューと同じ要領ですね」

   「ええ、一度ざっと順位付けをして、
    一晩寝てから翌日に見直してみると、
    『あれ?こっちの方がいいな』と
    思い直すこともありますからね。
    そうやって何度か見直しをかけた上で、順位づけに納得できたら
    選考コメントを記入していく、という感じです。
    一次通過作品でランクインしなかったものは、
    すべて『次点おしかったね』の欄で紹介してください」

 「我々はコンテスト結果しか見ていないので
  あまり舞台裏まで知りませんでしたが、
  意外と手間暇をかけるものなんですね。
  ちなみに先生はこの作業、いつやってるんですか?」

   「たいていは平日の夜、仕事が終わって家に帰り、
    晩飯を食ってからパソコンで選考を開始するんですが、
    気がついたら夢中になって
    深夜になっていることもよくあります。
    嫁には特にこのコンテストのことを話したことはありませんが、
    私が毎月夢中で何かをやっていることは察知しているようで、
    選考期間中はいつもそっとしておいてくれます」

 「先生、だいたいの順位づけまで終わりましたが、
  あとは何をすればいいですか?」

   「そうですね、
    あとは、あらかじめ自分の考えていたキャッチを並べたり、
    感性がシンクロしている作品を見つけたり、
    最後のひそかな楽しみとして、
    発表後のオマケとして入れる創作ネタを考えたり、でしょうか」

 「オマケって、
  テキトーなアンケート結果とかを載せて
  『sunny-yellow調べ』とか書いてあるアレですね」

   「そうです。
    あの部分は主催者が自分で遊ぶスペースですから、
    自由にやっちゃってください。
    そこまでできたら、90%ぐらいコンテストは出来上がりです」

 「え? 先生、これで全部じゃないんですか?」

    「家に帰るまでが遠足。
     キャッチポイントをつけるまでがキャッチコンテストです。
     発表内容がおおよそかたまったら、
     きちんとポイントを加算していってください。
     それができたら、ホームページの更新も忘れずに。

     お待たせしました。ここまでできれば、 
     キャッチコピーコンテストの完成です」

 「いや~、意外に重労働で驚きました。
  これは3分どころではクッキングできませんね。
  100回以上やってきたなんて、クレイジーとしか思えません」

    「好きでないとやっていられないでしょうね。
     年間ベストキャッチコピーコンテストなんかは
     もっとアナログかつ大変な稼働がありますし、
     まさに年始から年末までフル回転ですよ。
     それでも続けてこれたのは、単純に面白いからでしょうね」

 「映画のキャッチコピーに採用されたり、
  SNS上でよく紹介されていたり、
  いつのまにか注目度も上がっていますからね。
  今後も続けていきたいとお考えですか?」

     「もちろんです。
      キャッチコンテスト開催の真の目的は、
      『感性の鈍った大人にはならないため』です。
      私自身、小さな日常から
      色んなことに気づける人間でいたいですし、
      近しい人にもそうあってほしいと思っています。

      皆さん大人の事情があるでしょうから、
      忙しさや他の興味に負けて
      コンテストの応募数が減っていくのは
      ある意味普通の現象なんでしょう。

      それでも、だからといって何かに流されたまま
      フツーの大人にはなってしまうのではなく、
      自分の感性は自分で守るべく、
      みんな一緒に言葉で遊んでいけたら最高ですね。
      このコンテストが80歳ぐらいまで続いていたら、
      面白いでしょ?」

 「たしかに!
  私、キャッチを考えるのが苦手でしたが、
  自分のためにも参加してみたくなってきました。
  今回のガムキャッチ、早速考えてみますよ!」

     「楽しみですね。お待ちしています。
      人生、時間には限りがありますが、
      その時間内での幸せの数には限りがありません。
      また、お金には限りがありますが、
      言葉の可能性には限りなどありません。
      いっぱい言葉を使って、みんなでハッピーになりましょう」