No.3651 男の「粋」と、女の「品」

日本人たるもの、男には「粋(いき)」、
女には「品(ひん)」が必要だと言われる。

どちらも「さりげなさ」、
漢字で書くと「去り気なさ」が求められるんだよね。

良い行いをするだけじゃなく、
相手が気づく前に去り、その場に姿を残さない。
それが日本人独特の美学なのだ。
 
そういう意味で、
Barのカウンターで男性が
「あちらの方からです」とカクテルをプレゼントして、
女性が驚いた時にニヤッとするアレは、粋とは言わない。

外国でならいざ知らず、
感謝の言葉を聞かずにその場で姿を消してこそ
日本の紳士と言えるだろう。

本当は誰かの喜ぶ顔が見たいのに、
去るって意外と難しいね。精進しよう。

女性も同じ。
これ見よがしな気遣いや善行は
品とは言わない。

いかにして、
相手に配慮した印象を去らせるか。
そこに本当の日本女性の美があるのだと思う。

僕は品がある女性が好きだ。
逆に、それが無い女性はあまり好きではない。

最近、朝の電車で
毎日一緒になる女子高生がいてね。

見た感じ真面目そうだし、
たぶん悪い子ではないのだ。
ただ、僕は彼女が好きではない。
品というものを知らないから。

いつも、彼女と二列に並んで
電車を待っているんだけど、
電車が到着しそうになると、
彼女はジリジリと前に出始める。

そして、扉が開くやいなや、
彼女は周りの乗客に肩がぶつかる勢いでダッシュし、
必死で空いている席に座るのだ。

分かる、分かるよ。
君の降りる駅は結構遠いし、
大好きなスマホもイジりたいだろうし、
なるべくなら座席に座りたいだろう。

でも、その様は
ハッキリ言ってブサイクだ。
自分のことしか見えていない女性に、
男性は絶対に振り向かない。

まず他人ありき、
その上で去り気を演出できるかが、
大人の女性になれるかどうかの分かれ道だと思う。

オッサンは君にそれを説くつもりはない。
指摘されるのは君だって恥ずかしいだろうから、
あえてダッシュする君と競らない姿を僕の姿を見て、
できれば自分で気づきたまえ。

いつか気づいた時に、
きっと僕はそこにいないだろう。
それが僕なりの粋な教育だ。