No.547&548 ディープな大阪探検隊「なにわ健康ランド 湯~トピア」

●今日のおはなし No.547●
 
「温泉でも行って、
 マッサージとかしてもらいたいな~」
 
 
その一言から始まった小ツアー。
 
昨日の日曜、ツレと二人で東大阪・布施駅前にある
「なにわ健康ランド 湯~トピア」という所に行ってきた。
 
なぜ東大阪か、って? 知らない。
手元にあった温泉ガイドBOOKに載ってたから。
 
 
「どんなとこかな、どんなとこかな‥」
 
 
と小堺一機風に口ずさみながら、
「なにわ健康ランド 湯~トピア」前に到着。
 
‥、怪しい。カオスの情緒たっぷりの館。
 
恐る恐る2人で1階の受付に行くと、
わりとフツーのお姉さんが。少しホッとした。
 
 
 「お一人様、入泉料1000円になります。
  マッサージはいかがなされますか?」
 
 
おっ、来た来た。
俺らはマッサージをしてもらいに来たっちゅーねん。
 
 
「2人ともお願いします。」
 
 
 「ご指名されますか?」
 
 
「え?」
 
 
指名!?
あやしい風俗じゃあるまいし。
指名できるなら、せめて写真ぐらい見せて欲しいもんだ。
 
 
「あ、いいです。」
 
 
大丈夫かな~、ココ。
 
指名を断って、
エレベーターで6階のロッカールームへ。
エレベーターが止まって開いた瞬間、
衝撃的な光景が目に飛び込んできた。
 
目の前を歩く人は、みんな“アロハシャツ”。
 
奥に並んだ無数のリラクゼーションソファでは
“アロハシャツ”を着た沢山のおじぃ達が
グッタリと横たわっている。
 
 
「え?死んでる?
 ‥なんじゃココ、おじぃ達に何があってん!」
 
 
うなだれてビクともしないおじぃ達。
よく見てみると、
湯上がりでふやけていけるのが分かった。
 
 
「おい、あのアロハシャツどこでもらえるねん」
 
 
   「知らんちゅーねん。
    初心者の俺らなんてモンは、
    まだまだアロハを着せてもらえへんねん。」
 
 
アロハを着ているおじぃ達が“上級者”に見えてきて、
僕らは半笑いでロッカーへと足を進めた。
 
服を脱いで気づいたが、浴場は5階。
周りのおじぃ達は、
なぜか当然のように素っ裸で階段をおりていく。
 
「マジで?」と思いながら、
僕らも素っ裸で階段に向かった。
20数年生きてきて、裸で階段をおりたのは初めてだ。
 
一歩一歩階段をおりる僕達。
 
胸がドキドキ、
丸出しのお尻がスースーする。
 
いよいよ、
怪しい健康ランドの中枢部分へ潜入だ。
 
明日へ続くぞ。
 
 

●今日のおはなし No.548●

 
(昨日の続きだ)
 
浴場は、
中国と日本とギリシアの風呂文化を全部混ぜて
マヨネーズをかけたような造りだった。
 
壁には、小学生が初めて彫刻刀で彫ったような
ビーナス像っぽい作品。
 
でもその下には、高麗人参配合の薬湯。
 
奥には、日替わりランチならぬ、日替わり温泉。
今日の湯は「どくだみ湯」だ。
 
まるで遊園地みたいなワケわからん浴場を、
「次のボクシング世界チャンピオン」を育てているような
白髪のおじぃが、下半身丸出しで続々と往来する。
分かっていても、笑いが止まらない。
 
 
「おっ、外に出れるドアがあるぞ。」
 
 
ドアを開けると、
なぜかピンク色の湯が入った露天風呂。
 
海水浴場なんかによくある
白いリゾートチェア-が置いてあり、
素っ裸のおっちゃんがチェア-に座って、
右手に携帯電話、左手にタバコでくつろいでいた。
 
 
「上級者やなぁ~」
 
 
初心者の僕達には、真似のできない芸当だ。
風呂場に携帯電話を持ちこむなんて。
う~ん、早く経験を積みたい。
 
露天風呂からホームセンター
「コ-ナン」を見下ろすという絶好の眺めを楽しんだ後、
僕らは浴場を後にロッカーに戻った。
 
 
「いや~、スゴイね」
 
 
やっともらえたアロハシャツを羽織り、
ぐったりとしたおじぃの横でコーラを飲みながら、
感激にひたる僕達。
 
すかさず、店内放送が流れた。
 
 
 「番号札61番、65番のお客様、
  マッサージルームへお越し下さ~い」
 
 
来た。いよいよマッサージだ。
 
「行くぜぃ」と意気ごんで、
2人で7階へ階段を上がる。
 
7階に到着。
おっ!おばちゃんもいるが、
若いお姉さんマッサージ師もいるじゃないか。
 
 
 「はぁい、61番の方どうぞ。」
 
 
僕を呼んだのは、
やっぱり60歳ぐらいのおばちゃん。
ま、そうだろね。お約束どおりか。
 
おばちゃんの20年前の昔話を聞きながら、
えらく強い勢いで全身をマッサージされる僕。
 
両腕で首をかためられ、
「こめかみ」から始まったその体育会系マッサ-ジは、
僕の気力と体力を徐々に消耗させた。
 
 
「あ~、絶対もみかえし率120%やわ…」
 
 
なんだかんだで40分ぐらいマッサージしてもらい、終了。
少し背中のコリがとれた。
やるな、おばちゃん。
 
 
「せめてお名前だけでも‥」
 
 
そう言おうと思ったら、
既におばちゃんは姿を消していた。
くそ~、年間契約を結ぼうと思ったのに。
 
服を着替え、1階のロビーへ。
 
横では、人相の悪いおっちゃんが
「買えるモンやったら買ってみぃ」みたいな様子で
健康食品を売っていた。
 
まったく、
なんてツっこむ所の多い場所だ、ココは。
 
東大阪、布施駅前「なにわ健康ランド 湯~トピア」。
ディープな笑いにひたりたい人は行ってみるといい。