No.4014 洗濯物語


「どんな時に我が子の成長を実感する?」
という質問を受けたら、
たぶん「洗濯物を取り入れる時」と答える。

子どもが成長してくるとね、
段々とわからなくなってくるんだよ。
その洗濯物が、母親のものなのか、子どものものなのか。

我が家は4人家族で、
一番大きいのが僕、一番小さいのが娘。
体の大きさも性別も違うから、
洗濯物を取り入れる時に間違うことはまずない。

娘と息子、子どもたちの服は、
前までたまに間違うこともあった。
体操服や給食の服も、それほどサイズに差がなかったので。

でも、去年ぐらいから
息子の背がぐんと伸び始めたことで、
息子と娘の服を間違うことはなくなった。

代わりに判別がややこしくなってきたのが、
嫁と息子の服だ。

二人の身長差は、今ではたったの3cm。
買う服のサイズもほとんど一緒。
こうなると、本当にわからない。

ベランダから一つひとつ
乾いた洗濯物を取り入れるたびに、
頭の中ではクイズ番組のイントロが鳴る。

「問題。このNIKEのトレーナーは、
嫁の? 息子の? どっち?」という感じで。

間違ってしまったら後でうるさいから
衣服を手にじっくりと眺めながら考えるんだけど、
本当にわからないことが多い。

服についているタグを見て
女性もののメーカー名が書いてあれば簡単だけど、
ユニクロは難問だ。

ヒートテックとかの柄がない下着類なんて、
もはや一緒にしか見えない。

目ではわからない。触ってもダメ。
「そうだ!かくなるうえは!」と思い、
最後の手段として匂いをかいでみても、
洗濯後だから柔軟剤の香りしかしない。
うーん、難しい…。

夕暮れのベランダ際、
推理サスペンスの主人公になった気分で
一つひとつ服をにらんでいる僕は、
おそらく向かいのベランダにいる奥さんから見れば
さぞかし怪しい旦那に見えることだろう。

そのうち、
娘と嫁の服の違いが分かりにくくなり、
いずれは息子と僕の服の違いも分りにくくなるのかな。

もう一度言うけれど、
洗濯物は家族の成長を映す鏡である。

その鏡をのぞけるうちが、家族としては
一番幸せな時期なんじゃないかと、最近思う。

洗濯は家事じゃなく、鑑賞だな。