No.4054 平成最後の日


平成最後の日。
テレビでは、天皇陛下が退位の礼を行っていた。

僕は兵庫にあるサッカースタジアムから帰る
車の中で、同乗する家族とともにその様子を眺めていた。

一つの時代が終わる。
ドタバタしていたせいもあり、
まったくそんな感じはしなかった。

ただ、少しだけ、
昭和が終わった日の静けさを思い出した。
今の息子と同じ、中1の頃の出来事だった。
 
 
 
 「この映像、よくみとけよ。
  お前らが大人になった時に、
  たぶん今日の日のことを思い出すから」
 
 
 
後部座席に座っている子どもたちに向かって
バックミラー越しにそう言うと、
息子も娘も一生懸命テレビの液晶画面を見つめていた。

いつか大人になった時、
子どもたちも4月30日のことを思い出すだろうか。

今だからわかるけど、
この先ずっと記憶に残り続けるのは
儀式を映したテレビ映像の方じゃないんだよね。

それよりも、
どこで、誰と、どんな風にその様子を眺めていたか。
そんな空気感の方が記憶に残ると思う。
 
 
 
 「平成最後の日も、サッカーだったな。
  テレビをみたのは慌しい車の中だったけど、
  家族みんなが一緒だった。あの頃は」
 
 
 
きっと、いつかこんな風に、
家族といた時間を懐かしく思い出すことだろう。

令和、か。
平成は彼らが生まれた時代、
令和は彼らが羽ばたく時代になると思う。

僕たちにとっては、どんな時代になるのやら。
昭和や平成を懐かしむことがないくらい、
幸せな時代になってほしいと切に願う。