No.4603 終わりのないプレゼント

プレゼントには、贈るものが2つある。

1つはモノ、もう1つは気持ち、

理由はどうであれ
良いモノをもらうと単純にうれしいし、
逆に、たいしたモノじゃなくても
気持ちがこもっているとうれしい。

最低どちらか1つ、
できることなら2つともを満たすプレゼントが
最強なんだろうな。

その点、
「考えた人は天才だな」と思ってしまうのが
カタログギフトだ。

ほら、結婚式の引き出物とかで
たまにお目にかかるじゃない。

商品カタログを受け取って、
「好きなもの選んでいいよ」って
言われるあのサービス。

もらった方としては
「好きなモノを」というあたりの設定に
妙にテンションが上がる。

逆に、プレゼントをあげる方としても
受け取る本人にモノを選ばせているので
まず外すことはない。

まぁ、少々事務的なプレゼントにも見えるし、
気持ちがどれだけ伝わるかは微妙だけど、
「モノを贈る」という意味で外したくないなら
これほど最強の商品はない。

嫁が誕生日を迎えるので、
この間、スマホで色々商品を見せながら
「これいらん?」と聞いていた。

でも、物欲のない嫁は
「もったいない」「置く場所がない」
「掃除に困るからいい」とかしか言わないので、
仕方なくカタログギフトを買ってあげた。

日頃から主婦業や子どもの世話で忙しい嫁への
労いの気持ちをこめて、
「お金のことは気にせず、
 たまには自分の好きなものを買って」と。

数分後、「選んだ」というので見に行ったら、
息子の部屋に飾る用の
壁掛け時計を注文しようとしていた。

 「いやいやいや、待て待て~ぃ。
  そういうことじゃないやん。
  子どもらのものはまた今度買ったらいいから、
  自分の好きなものを買いなさい」

結局、コーヒー豆か何かを注文したんだけど、
危うくまたアホ息子のために
使われてしまうところだった。

なるほど、
カタログギフトは良い発明だけど、
プレゼントをもらう側に選ぶ権利を渡すと
こういうことがあるんだな。

プレゼント権利の又貸しというか、
プレゼントをもらう側が
あげる側にもなれてしまうというか。

もしもカタログギフトで選べる商品メニューの中にも
「カタログギフト」があって、
贈られた人が次々とカタログギフトを選んで
誰かにあげたなら、
気持ちだけが延々と贈られ続けるという
なんとも素敵な光景が広がりそうだ。

新郎新婦から贈られたカタログギフトを
受け取った参列者が
また別の誰かにカタログギフトを贈って、
そのまた誰かが別の誰かにカタログギフトを贈って、
という具合に。

そういうの、好きだな。

カタログギフトの会社の人、
ぜひ商品メニューにカタログギフトの追加を。

幸せは消費するより、ループさせた方が面白い。