No.1141〜1143 「ラジオ」にまつわる3つのおはなし


●今日のおはなし No.1141

予告どおり、今週は「ラジオ」week。

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『ラジオで始まる夏の朝』

子どもの頃、
夏休みの朝は不思議と早起きが楽しかった。

朝6時前。
集会所の前にある広場に集まると、
上級生のお兄さんやお姉さんが「おはよう」と迎えてくれて、
わいわいと子ども同士のたわいもない話が始まる。

話も盛り上がってきた頃、
子供会の親分であるおじさんのかけ声とともに、
ラジオから陽気な声が流れてくるのだ。



 「♪はーい、みなさんおはようございまーす。
  (おはようございまーす)
  みんな元気がいいですねー。
  今日は○×市立体育館にやってきましたー」



毎日、全国のいろんなところを訪れてるおじさんの声が
ラジオから流れてくると、なぜかみんな静かになって耳を澄ました。
まるで、自分も全国を飛び回っているかのように、想像しながら。



  「さぁ、今日も元気よくいきましょう。
   ラジオ体操第一ぃ! 腕を大きくまわして…」



何度聞いても飽きない、軽快なピアノのリズム。
僕らは何も考えず、ただラジオの向こうから聞こえてくる
メロディと声にあわせて体を動かした。



  「深呼吸ぅーうーぅ」



最後に流れるお決まりのかけ声が広場にこだますると、
必ず子どもたちから笑い声が起こった。
会ったことはないけれど、
口をタコのように丸くして「ぅーうーぅ」と言っている
おじさんの顔を頭に描きながら。

今思えば、
毎日聞いても毎日笑えたのが不思議だ。

ラジオ体操が終わったら、
首からぶらさげたスタンプカード(?)を持って
上級生にハンコを押してもらう時間。

毎日1つずつハンコの数が増えていくのが、
なぜあんなに楽しかったんだろう。

体操を終えた僕らは一度解散し、
スズメの鳴き声が蝉の鳴き声に変わる頃、
プールのバッグを持ってまた広場に集まる。

そして、ぎんぎんぎらぎらな日射しの下、
ワクワクするような夏の一日が始まるのだった。

 

●今日のおはなし No.1142●

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「空想のある生活」

中学の思春期とはややこしいもので、
親と一緒にテレビを観るのもイヤだったから、
晩飯を食い終わるとすぐに自分の部屋に直行。

僕の部屋には机とベッド以外特に何もなかったけれど、
小さなラジオが1台あった。

たいてい夜によく聴いていたのは、
「ブンブンリクエスト」(?)とかいう
よくあるヒットチャート音楽番組。

CDを買わなくてもいろんな曲が聴けたから、
おかげで音楽に詳しくなって、
カイリ−・ミノーグやリック・アストリ−など、
洋楽に目覚めたのもこの頃だったと思う。

たいてい歌手の顔は知らなかったけれど、
歌声や歌詞を聴いて想像するのがわりと楽しかった。

そうそう。
実家が海のそばだったこともあり、
たまに四国のラジオ番組も聴けた。

方言だらけで地元ネタを話しまくるDJのおかげで、
四国に対する想像がどんどん膨らんで、
めちゃめちゃ楽しいアイランドを
勝手に頭の中でイメージして楽しんでたっけ。

当時、僕が一番ハマっていたラジオの楽しみ方は、
寝る準備をしてから、灯りを消して、布団の中で聴くこと。

何も見えない真っ暗な部屋でラジオを聴くと、
空想の世界がどんどん頭の中に広がって、
現実と夢の狭間にいるような感覚に「幸せ」を感じていた。

たぶん、あの頃の癖なのかな。
大人になった今も、空想が大好き。

そこには、ルールもモラルも遠慮も限界もない。
空を飛びたければ飛べるし、
ドラマの主人公になりたければ、いつでもなれる。
空想のある生活ほど、幸せなことはない。

何かに疲れたら、テレビのスイッチを消して、
ラジオをつけてみるといい。

現実逃避とは違うのさ。
現実を楽しむために、空想はあるんだから。

 

●今日のおはなし No.1143●

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「AMはAMを PMはFMを」

朝起きると、乾いている自分がいる。
何に乾いているのかは分からないが、
とりあえずコップ一杯のスポーツドリンクを飲む。

「おはようさん」と言われてはじめて、
心がじわじわ潤ってくる。
いつもの自分がよみがえってくる。

午前はやたらと人の声が恋しくなる。
眠っている間に、生きていることを忘れてしまったかのように。

そんな時は、AMラジオをつけて、
浜村淳や道上洋三の会話に耳を傾ける。
不思議と心が和んでくる。

午後になると、
そこにはいつもの自分がいて、
あーだこーだしてる間に、今度は心が別のものを求めだす。
夕方までがまんしたらいいほうで、人の声から逃げたくなる、

そんな時は、自然と
FMラジオをつけている。
なるべく日本語の少ない洋楽が流れている番組を選んで。

歌詞の意味なんてわからない。
それがなぜか、心地いい。

ラジオという存在は、
僕にとって一つではない。
時によっていろんなアドバイスをくれる友人のようだ。