No.1204 笑顔は伝染する


昨日、久しぶりに吉野家で昼飯を食べた。

平日、お昼時の吉野家というのは、
1分1秒を無駄にしたくないサラリーマンが
次から次へと押し寄せ、まさに戦場のよう。

フロアは4人ぐらいのフォーメーションで、
常時50人ぐらいの入れ替わる客を対応していたけど、
お持ち帰りの客とかも増えてきて、
店員は半ばパニック状態。

当然、注文が出てくるのもいつもより遅くなるんだけど、
僕はたいして急いでいなかったから
「店員さん、たいへんやなぁー」とお茶をすすって傍観していた。

すると、僕のカウンター向かいに座っていた
関東人風のメガネサラリーマンが、冷たいトーンで



 「すみません! 私の注文まだかな?」



とプチ切れしだしたのだ。
必死な顔で



   「申し訳ありません。順番にやっておりますので…」



と謝る男性店員A。

なるほどー、そうやって謝るマニュアルになっているのかぁと
感心しつつも、少し店員に同情した。

5分後。またそのサラリーマンが吠えた。



 「ちょっと! 私の注文どうなってるんだぃ?」



汗をかいた男性店員Aが仕方なくまた謝ろうとしたその時、
キッチンの中から豚丼が出てきた。

そばにいた店員Bが素早く豚丼をお盆にのせ、
さっき怒られた店員Aにさっと手渡す。

「…あぁ、よかった。これでサラリーマンも黙るね」と
内心ホッとする僕。

しかし、次の瞬間、
フロアに店員Aの怒号がこだました。



   「お前、アホかっ!! これ、並やんけ!
    なにしとんねん!ちゃんと確認せぇ!ボケっ!」



おそらくサラリーマンは、
大盛りか何かを注文していたのに、
店員Bが間違えたんだろう。

店員Bへの怒りをおさえながらも、
サラリーマンにまた謝る店員A。

長蛇の列ができているお持ち帰り用のレジに戻ったあとも、
店員Aは舌打ちをしながらイライラしていた。
そりゃそうだろう、ただでさえ忙しいのにミスされたら。

怒りの表情をお持ち帰り客に見せないように、
ずっと下を向き、怒りをおさえながら接客する店員A。

と、作業着を着たおっちゃん風のお持ち帰り客が
いきなり店員Aに言葉をかけたのだ。



 「兄ちゃん、大変やろうけど怒ったら負けや。
  笑おっ。なっ。」



驚いて顔をあげる店員A。



   「はっ、はい!すみません!
    あっ、200円のお釣りです!」



 「ありがとうさん。がんばりや。」



そう言って、笑顔で店から去るおっちゃん。
かっ、カッコいいー。

その後、笑顔がなかった店員Aに笑顔が戻った。
顔をあげて、ハキハキと、楽しそうに、



   「ありがとうございましたー!」



と声をだして。

笑顔っていうのは、伝染するらしい。

どうせなら、うつされる人より、
うつす人になりたいな。