No.1518 海の水は腐らない


はじめて沖縄に行った夏、
あまりの海の美しさに感動して、
ペットボトルに海水を入れて持ち帰った。

そのペットボトル、今でも家にあるんだけど、
水が決して濁らない。
臭くなったりもしない。
島にある小さな砂浜ですくったあの時のまま、
透明に近い色できらきらと輝いている。

「腐る」という言葉がある。
空気中や水中の栄養素を餌に
人体に有害な微生物が発生すること。

お菓子だって長い間放っておけば腐るし、
お茶なら3日もすれば腐る。
そういう意味では、微生物がたくさんいる海の水は
すでに腐っている水だ。

でも、「腐る」という言葉は人体に害をおよぼす微生物、
つまり、あくまで人間社会を中心としたもの。

海は人間社会ではない別世界だから、
「腐る」という言葉は似合わない。
現に、人は海を見て鼻をつまむどころか、涙を流して感動する。

確かに、海水を飲んだら人体には悪いかもしれない。
でも、心にはとても優しい。

これを、有害というのか無害というのか。
僕は、「海の水は腐らない」と信じている。