No.5317 オジャーマン

世の中には、
「絶妙に邪魔な人」という人種が
一定数存在する。
 
多くの人が乗り降りする
電車の扉の真ん前から動かなかったり、
あともう少し左か右に座れば
もう一人座席に座れるのに
ちょうど真ん中に座っていたり。
 
他にも、後ろの人が追い抜けないような
歩道の真ん中をゆっくりと歩いていたり。
 
スーパーの商品棚の前で
ワゴンカートを放置したまま、
ぼーっと商品を眺めていたり。
 
本人はまったくの無意識なんだけど、
彼らはまるで神業かのように
絶妙に邪魔な位置にいるのだ。
 
サッカーで相手のスペースを消す
MFとして出場したら、
プロの選手になれるくらい、
 
ある意味では恐るべき才能。
「周りが見えていないタイプ」と
切り捨ててしまうのは勿体ない気もする。
 
もっと天然記念物的に、
その独特なセンスをポジティブに
保護してあげる環境があってもいいよね。
 
 
僕が観察してきた限りの情報だけど、
彼らに共通するのは
「真ん中」という概念だ。
 
「誰か他の人も通るから」などという
一般的な想像力が働かないぶん、
彼らにはどこでも必ず
センターポジションを獲れる才能がある。
 
きっと、AKB48に加入したとしても、
物怖じすることもなく
自然とセンターに立ってしまうはずだ。
 
もっと過大評価をすれば、
もしも選挙で政治家にしてあげたら
右寄りでも左寄りもなく
ど真ん中の政策を実行してくれるかもしれない。
 
飛行機でも新幹線でも、
端の窓側ではなく、一番人気の無い
真ん中の席を埋めてくれるだろう。
 
うーん、そう思うと
単に邪魔に見えていた存在が
とても貴重に思えてきたね。
 
今後、イキリーマンに対抗して、
「オジャーマン」と呼ぶことにしよう。
うむ、そうしよう。