No.5343 キャッチコンテストマニアな2人
「おー、お待たせ~!遅れてすまんな!」
「遅いわ!何時まで仕事してるねん。
逆に、人生さぼってない?」
「だってしゃーないやん。
この4月から新入社員も入社したから、
研修とかで忙しいねん。
アイツら、ホンマに手がかかるわ。
無知との遭遇やで」
「それな! うちの新入社員なんて、
初日の朝礼からガム噛んでやがるねん。
米国式脳内マッサージやで?
まだ日本式も教えてないのに」
「まぁ、俺らもしがないサラリーマンやし、
仕方ないか。
小学生の結局なっちゃう職業ランキング
ナンバーワンやしな」
「やっぱり、そろそろ転職したら?」
「一回無色か~。悪くないな」
「まずは飲もうや。
すみませーん!
とりあえず生ビールと、」
「出たな。キング オブ とりあえず」
「別にエエやんけ。
で、お前は何にするねん?」
「えーっと、オレンジジュースで」
「なんでソフトドリンクやねん!
アルコール飲めや!」
「いやだって、店で酔い潰れたくないやん。
俺、みんなで飲みたいけど、
一人で酔いたい派やねんな~」
「うまいこと言うな。
あと、料理は?
ひとくち海鮮丼とかいっとく?」
「いいね~。
ごはんは生きてるご褒美やから、
ちゃんと食べなアカンで」
「でもさ、俺らの付き合いも長いよな~。
中学からやから、もう30年ぐらいか?」
「それぐらいになるんかな?
懐かしいな~。中学時代はとにかく、
部活のついでに授業をうける毎日やったな」
「そうやったよな~。
毎日汗まみれでな。
まさに若臭物語やったよな」
「修学旅行とかも先生の怒られて、
昼は寺で座禅で、
夜はホテルで座禅やったもんな」
「懐かし~。
勉強もまったくできんかったから、
たまにオカンが来る授業参観とか、
公開処刑やったもんな~」
「そう言えば、うちの息子も
この春で高校卒業して、大学に入学したで」
「みきり発車か~。
井の中の蛙、次の井戸へ、やな」
「いつのまにか、もう大学生やで?早いよなぁ。
東京で一人暮らしで、
オレん家デイズの始まりや」
「そんなん、絶対に遊ぶやんけ。
ナンパとコンパの毎日やろ」
「まぁ、ナンパは出会い系肝試しやし、
コンパも団体戦やけど個人戦やから、
ある意味では成長できるかもしれんけどな」
「異性を知るのも勉強よね。
女ってのは、
憎らしいほど理不尽で、
狂おしいほど矛盾に満ちて、
悩ましいほどよく食べるからな」
「せいぜい、女にダマされたらエエねん。
すっぴんから、べっぴんになった女子とか、
人口フェロモンまとった女子に」
「お前の息子も彼女とかできて、
晴れドキドキ曇り、みたいな感じで
デートとか行くんやろな~」
「俺らが昔そうであったように、
やっぱり百万光年の夜景を見たり、
プラネタリウムで
『二人で一夜を過ごそう』とか言ってみたり、
遊園地でいちばんドキドキした乗りものは
ベンチになったりするんかな~」
「若いっていいな。
そうや、俺らもどこか旅行行こうや!
温泉行こ! 地球の体温を感じようや!」
「いいね~。久しぶりに温泉旅館で
『オカミが出たぞー!!』で叫びたいわ」
「外国とかは?
やっぱり、40才でも迷子になれるのは
外国ぐらいやろ」
「息子の進学で金がないわ。
ディズニーランドぐらいでどう?」
「入場料、結構高いで。
あそこはあそこで出ゼニランドやからな」
「もう、近場で甲子園とか行く?
今年の阪神タイガース強そうやし」
「強いんかな?
どうせいつもの虎大妄想やろ。
というか、甲子園じゃ旅行にならんし」
「まぁ、旅行って
行ってみたら何も無かったけど、
帰ってきたら笑顔があるもんやし、
休日は家でゆっくりしようかな」
「そうするか。
あ、ちょっとトイレ行ってくるわ。」
「よっ、あんたが大小!
あそこにいる外国人客に
日本人の便器の両刀使いを見せてやれ~」