No.4027 3月20日
「3月20日」と聞いて思い出すのは、
爺さんの命日だ。
僕のその後の価値観を変え、
人生を大きく左右した日でもある。
高校の合格発表があった翌日に、
爺さんは亡くなった。
生前に僕の合格を聞いたかどうかはわからない。
ただ、一番お世話になっていた人で、
尊敬していた人でもあったから、
前日に自分ですぐに報告できなかったことを悔やんだ。
あれからだな。
僕の人生の重心が
「今を生きること」にシフトしたのは。
1年後の命日には、高校の文化祭があった。
でも、法事には行かなかった。
その次の年も、そのまた次の年も。
「こんなところに来てるヒマがあったら、
青春を楽しまんかいな」
お爺さんなら、
必ず僕にそうアドバイスすると思ったから、
僕は死を振り返らず、生きることに集中した。
不思議なもので、
大好きなお婆さんも3/20前後に亡くなった。
その頃はもう社会人になっていたし、
すでに家族もいたけれど、
同じ理由で最初の法事以外は欠席した。
「かまへんかまへん、
もっと楽しくやりや~」
お婆ちゃんなら、
必ず笑ってそう言うと思ったから。
不思議なことに、
この日は毎年よく晴れるんだよ。
今日もいい天気だな。暖かい。
せつなくて泣けてくるほど、暖かいぜ。
昨日はもう見えない。いつかなんてわからない。
今を生きよう。3月になると、そう思う。