No.5140 脇役を決めるセンス

「世の中はバランスだなぁ」とは思うものの、
「すべてをまんべんなく」ではつまらない。
 
物事には、偏りや尖り、
エッジがあっていいと思う。
 
むしろ、それがないと
これだけモノや情報にあふれた世の中では
きっと埋もれてしまう。
 
ネットやスマホの普及によって
世の中に増えたコンテンツの代表格と言えば、
「文章」と「写真」だろう。
 
誰でも発信するようになったし、
誰でも撮影するようになった。
 
教科書どおりに書いた文章や、
記録的に撮影する凡人の撮り方じゃ
一瞬で埋もれてしまう。
ある意味では、レベルが上がってきたのかな。
 
この間、たまたまママ友だちから
「いい写真の撮り方」を訊かれたので教えていた。
 
僕はカメラマンではないけれど、
プロのカメラマンの仕事をたくさんそばで見てきたことで、
自分なりの理論はある。
 
むしろ、それを言語化できるのが、
ライターとして育った僕の強みかもしれない。
 
ものすごくシンプルに言うと、
良い写真って「何を撮りたいか」が決まっている。
 
写真を撮ると言うと、
その一瞬を切り取るようなイメージがあるけど、
切り取るだけならシャッターを押せば誰でもできるんだ。
 
そうではなく、
写真の「主役」を決めること。
 
もっと言えば、
メインとなる主役を決めるだけでなく、
何を引き立てる「脇役」にするのかを決めることが
良い写真を撮影するための近道だと思う。
 
この女性の姿を主役にして、
後ろの町並みを脇役にしよう。
 
この黄色いベンチを主役にしたいから、
あの白い壁を脇役にしよう。
 
プロのカメラマンは、
瞬時に脇役を見つけ、
脇役としての仕事を与えるのが本当に上手だ。
 
それがしっかりとできている写真は、
単に時間を切り取った
修学旅行の記念写真のようにはならない。
 
この感覚、大事だな。
 
僕らが生きていく上で
何かメインについて考える時は、
サブのことを一生懸命考えた方がいい。
 
できる人って、みんな脇役の扱いが上手だ。
 
花の写真を撮る時に、
周りの草の色に気づける自分でありたいと思う。