No.1394 蘇生 〜一度死なないと生きていることに気づかない〜
手術を終え、今日から社会復帰。
まだ少し不自由な右手を使って、
キーボードを叩いている。
いろいろあったけど、手術をして良かったと思う。
きっと、全身麻酔手術をしたことのある人にしか
分からないかもしれないけど、
「生きる」ことを見つめ直すことができたから。
全身麻酔って、一度殺されるんだ。
「目を開けていよう」「体を動かそう」という意思とは逆に、
麻酔で強制的に眠らされる。
具体的に言うと、一部内臓も含めた体の機能を止められるのだ。
一度眠らされたら、医者の力がないと
再び生き返ることもできない。
どうにでもされてしまう仮死状態、そんな感じ。
再び目から光が飛び込んできた時、
「生き返った」という安堵感が体全身を走る。
一度止まっていた時が動き出したとき、
生きていることの尊さ、一瞬一瞬が貴重さを
実感せずにはいられなかった。
同時に、とてつもない孤独感も感じた。
おそらく僕が手術をして目覚めたのが、
多くの人が仕事をしている時間だったこともあるけれど、
「このまま目覚めなかったとしても、
誰も気づいてくれなかったんだろうな」って。
誰にだって自分の人生があって、
みんなそれを一生懸命生きている。
数多くの友人の一人に過ぎない僕の仮死など、
なんと小さな出来事か。
そう思うと、とてつもなく寂しく感じた。
病室で、なんとなく何人かの友人に
「スイカ」キャッチの告知をメールで書いてみた。
僕が生きていることを知らせたかったのか、
他の気持ちがあったのかはよく分からない。
ただ、生きているうちに、やっておきたかった。
みんなにとってみたら、
sunny-yellowでやっていることなんて、
小さいことかもしれない。
でも、もし良かったら、
やっぱりキャッチコンテストも他のことも、
一緒に楽しめたらなぁと思う。
みんなも僕も、明日も同じように生きて、
同じように笑えるなんて限らないからね。
麻酔から目が覚めた病室で、看護士さんに名前を呼ばれて
「はい」と返事をした時にわかった。
返事をすることが、生きていることを証明する
一番簡単な方法なんだと。
そんな大切なことさえ、最近の僕は、
すっかり忘れてしまっていたんだと。