No.144 「教える」ということ
回文っていうものがある。
「ダンスが済んだ」「たいやき焼いた」
「関係ないケンカ」などなど。
上から読んでも
下から読んでも同じ文の事。
昔 家庭教師で教えていた中2の子がいて、
その子のテストの点数は
いつもガラスの10代だった。
冬の期末テストもこれまた悪くて
「自分はバカだ」と落ち込んでいた彼に、
僕は気分転換として
「回文でも作って、頭の体操しよっか。」
と言ってやった。
そしたら、まず彼は
語尾に多用される「〜です」という言葉を紙に書いて、
それをひっくり返して まず「素手」という単語を作り、
素手です。
という回文を作った。
僕は笑った。
「自分、できる子やで。絶対。」
その夜は
何故彼の考え方が素晴らしいと思ったか、
何度も何度も丁寧に説明してあげた…。
1年と数ヵ月後。
万年校内最下位クラスだった彼が
見事普通科の高校に合格した。
教える事って、
“可能性を信じさせてあげる事”だと思った。