No.2957 「母の日」のプレゼントを買いに行こう
「主婦」って、大変な仕事だと思う。
家族の日常を支えているからこそ、
その努力が日常に紛れてしまって目立たない。
昨日も、朝から息子の参観日があったので
それに気づいたのはすでに午後を過ぎた頃だった。
「あ…、今日、母の日やん!」
僕がそう声をあげた瞬間、
部屋でゴロゴロしていた子どもたちも
「あっ!」と気づいて。
「ちょっと遊んでくるわ~」と言いながら、
急いで3人で車に乗り、
母の日のプレゼントを買いに行くことにした。
ただ、威勢良く家を出たものの、
肝心のプレゼント内容が決まっていない…。
車を走らせながら、
子どもたちとの協議が続いた。
「なぁ、何を買ったらお母さんは喜ぶと思う?
お金はお父さんが出すから、
何を贈るかはオマエらが考えてみ」
母の日で大切なことって、
やっぱり感謝の気持ち。
単にプレゼントを贈るのではなく、
お母さんの苦労や大変さを想像して
改めて感謝することに意味があるので、
子どもたちに考えさせることにした。
「お母さんって、お前らのために
いつも何してくれてる?」
「え~、ごはんとか、そうじとか」
「おせんたくも!」
「そうやな。お母さんが家事をしてくれるから
お前らもお父さんも生活ができるんや。
家事って結構疲れるねんで」
「そういえば、いつも
『かたがいたい』っていってる」
想像が進むごとに、
徐々にお母さんの気持ちや
母の日の意義を理解していく子どもたち。
しばらくして、息子がこう言い出した。
「そうや! かたがこってるなら
マッサージクッションをかったらええねん!」
息子いわく、以前義理の妹に
マッサージクッションをプレゼントした時、
嫁が「お母さんもこんなんほしいわ~」と
言っていたそうで。
娘も「それがいい~♪」と賛成したので
近所のデパートで探してみたら、
結構いい値段がして思わず引いた…。
とは言え、お金を理由に
子どもたちのアイデアを却下しては
父の権威にかかわる。
う~ん…、そうだ!
「なぁ、ヤマダ電機に行かへん?」
「やまだでんき?」
「あそこなら、いいヤツ売ってるはずやから」
良い物を売っている、なんて
文字どおり“子どもだまし”の言い訳。
本当の理由は、ヤマダ電機のカードに
貯まっていたポイントを使えば、
多少高い買い物でも大丈夫だからだ。ニヤ。
店に着くと、あったあった、
健康グッズコーナーに
たくさんのマッサージ機器が。
首肩用、腰用、ふくらはぎ用、足裏用など、
いろんな種類があったけれど、
ひとまず王道の「首肩用」を買うことに。
ところが、商品の箱を持って
レジに行こうとしたら、
“クッションの色”について
息子と娘がケンカを始めた。
「おかあさんは白がすきやねん!」
「ちがう! ピンクがすきなの!」
「それは〇〇(←妹の名前)が好きなだけやろ?
ちゃんとおかあさんのこと考えや!」
「かんがえてるわ! あほぉ!」
どちらも折れないまま口論が続いた末、
しまいに娘が泣き出したので、仕方なく
息子の「白クッション」案を採用するかわりに
娘にはジュースを買ってやることで一件落着させた。
そんなドタバタもどこへやら、
家に帰る車の中で
子どもたちはやたらとテンションが高かった。
自分たちが選んだプレゼントを
お母さんに渡して驚かせる。
子どもたちにとって、それはきっと
ワクワクするイベントだったんだろう。
「いいかオマエら、
晩ごはんが終わるまでしばらく
プレゼントは隠しておくから
家に帰ってもニヤニヤするなよ」
と言っておいたものの、
テンションが上がった子どもたちに
そんな演技ができるはずもなく、
到着後、数分後で早くも
ネタばらし(プレゼント贈呈)をすることになった。
大きな箱を渡した瞬間、
子どもたちからの思わぬプレゼントに喜ぶ嫁。
「二人で選んでくれたん? ありがとうね」
と誉められて、ますます上機嫌になる子どもたち。
ヤマダのポイントで買えたので
僕の財布も痛まなかったし、
これが本当の“三方良し”ということで、
その夜は、家の中にいつもより笑い声が響いていた。
危うく忘れるところだったけれど
結果オーライで、めでたしめでたし。