No.1362 出産準備 その2 〜親がカメラを買う理由〜

この前の土曜日、カメラを買った。

決めてたんだ。
子どもができたらカメラを買うって。

たぶん、自分が幼い頃、
よく親父が年季の入った一眼レフで
写真を撮ってくれた影響だと思う。

昔から思ってたから、自分としては
新しく買うことが当然のことのように感じてるんだけど、
ただひとつ、デジカメの時代になるなんて想像もしていなかった。

電器屋に行って悩んだあげく、
わりと新機種のデジタルカメラを買ったんだけど、
親父の一眼レフのイメージが強いのか、
息子を撮影するのがデジタルでいいのか、まだしっくり来ていない。
そのうち慣れるんだろうけど。

日曜日、「そういえば」と思って押し入れを探したら、
親父から譲り受けた一眼レフのカメラが出てきた。

小型化されたデジカメとは違い、
ずっしりと、重く、手に残る感触。
手動のセルフタイマーをまわし、シャッターボタンを押すと、
「ジー」という音が数秒鳴って、
最後に「カシャン」というシャッター音が響いた。

 「うーん、やっぱり、これはこれでいいなぁ」

年賀状の写真を撮るために、
家族4人、公園で横一列に並んだあの日。
はじめて野球のユニフォームをもらったからと言って、
家の前で、試合に行く格好で愛犬と撮影したあの日…etc.。

シャッターの音を聞くたびに甦ってくる思い出が、
僕をアナログから離れさせないでおこうとする。

新しく買ったデジカメもいいけど、
やっぱりちょくちょく一眼レフも使ってみようと思う。
そして、息子がいずれ大人になったら、この一眼レフを譲ろう。

その頃には、もっと時代も変わっているだろうから、
一眼レフなんて化石みたいなものになっているかもしれない。

でも、使えなくたっていいんだ。
残したいのは、カメラではなく、
親としての気持ちだから。