No.1152〜1153 待ちたまえ!電車男

●今日のおはなし No.1152●

毎年この時期になると、
「暑くなると変な人が増えるよねー」と
いう声を聞くけど、いた、ホントに変な人が。

今日から2話連続でお届けするおはなしは、
女性のみなさん必見である。

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Round1 待ちたまえ!変な男!
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昨日の朝、いつもどおり通勤電車で吊革につかまり立っていると、
目の前にわりとデカい男の人が座っていた。

歳の頃は30代半ばぐらいで、
白シャツに紺スーツというどこにでも居そうなリーマンスタイル。
前の朝も同じ電車だったから、
なんとなく男の顔に見覚えはあった。

でも、よく電車で会う人なんて沢山いるから、
特に気にせず窓の外を見つめていたのね。

すると、次の瞬間、男の動きに異変が…。
いきなり左を向いたかと思うと、
そのまま動かなくなったのだ。

「横顔に相当な自信があるのか?」、
最初は冗談でそう思ってたけど、数秒後に笑えなくなった。
男の目線の先をよく見ると、
隣で眠っているギャルの胸元を確実にロックオンしていたのだ。

 「こ、この男…、あぶない…」

それから電車が3駅ぐらい走る間、
眠り続けるギャルに、のぞき続ける男、
その男をマークしつづける僕、という
奇妙なトライアングルが続くことに。

 「この結末はどうなるんだ…」

あまりの緊張に頬から汗がしたたり落ちたその瞬間、
ギャルが動いた。下車だ。

僕も同じ駅で乗り換えだったので、電車を下りる。

 「あの男は…、昨日僕が乗り換える時に
 まだ座っていたから、ここでさよならだね」

内心僕はホッとした。

しかし、次の瞬間、
なんと僕や周りの人をかきわけるように
男がエスカレーターに向けて走り出したのだ。
まるで、ギャルを逃がさんとばかりに。

 「なぜだ!?オマエの下りる駅じゃないだろ!?
  いかん!これは最後まで見届けなくては!」

意味のわからない正義感が脳を刺激し、
僕は16ビートの鼓動で早歩きのまま男を追跡した。

                   つづく

 

●今日のおはなし No.1153●

(昨日のつづき)

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Round2 乗り換えさせてたまるか!
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額から汗を流しながら足早に前に進むと…、
いた。男がギャルの横に…。

わざとギャルに歩幅を合わせて歩きつつも、
やはり顔は真横で胸元ロックオンの男。
やばい。これはやばい。

駅員に通報しようかとも思ったけれど、
よく考えたら男は痴漢行為をしているわけでもないので、
訴えようがない。(頭の中では確実に痴漢してたと思うけど)

 「こうなりゃ、現行犯逮捕だ!」

と意気込んで、
乗り換えのホームまで尾行する僕。
(おさらいですが、この時の僕はあくまで通勤中)

ホームにはたくさんの人があふれていたけど、
背の高い男はどこにいてもすぐわかった。

    電車が到着しま〜す。白線の内側に…

ホームに鳴り響くアナウンス。

満員電車から人がたくさん下りてきた瞬間、
さっきまで左ばかり向いていた男が、
慌てて首を振りだした。

 「…野郎、さてはギャルを見失ったな」

1000万円の財布を落としたかのように、
半パニック状態になる男。

 「なぜだ!?何がオマエをそこまで必死にさせるんだ?」、

そう思いながらも、
人波をかきわけて男の背後に回りこむ僕。
(くどいようですが、通勤中です)

と、次の瞬間、
男が隣の車両めがけてダッシュしだした。

 「くそっ!逃がすかっ!」

慌てて後を追う僕。

    発車しま〜す、プシュ〜

扉が閉まり、少し酸素の薄い電車が走り出す。
僕は、完治していない右腕をかばうように体勢を立て直してから、
急いで男を探した。

 「いた!あそこだ!」

数m離れたところに、吊革につかまって立つ男…。
その隣には…、
さっきのギャルが男に背を向けて立っていた。

どうしようと考えているうちに電車は次の駅に着き、
僕はそこで車両から下りた。
(通勤中だったので)

ということで、
その後の二人の行方を僕は知らない。

男がどこまでギャルを追い続けたのか、
ギャルは無事だったのか、
そして、そもそも男は会社に間にあったのかどうかも…。

本当にあった怖い話。
女性のみなさん、いくら暑いと言っても
露出の多い服装にはご注意を。

僕が見たギャルがそうであったように、
あなたも知らないうちに
知らない人にロックオンされているかもしれないから。