No.276 不思議な友達
怒ったり優しかったり、
表情はあるのに顔はない。
得体のしれないその姿を目の前にして、
「オマエは何者だ」と僕はそいつを問い詰めた。
ザ- ザ-
相変わらず、単調なノイズで返事をしやがる。
理解不能。
「あんなヤツ知るもんか」、
アクセルを踏みながら そう言い放ったのも束の間、
気がつけば また僕はそいつの前でたたずんでいる。
何なんだ、このパワ-は…
その瞬間、
太陽の光がそいつにエメラルドの輝きを与えた。
美しい。
男のようで、女のようで、
捕らえどころのない変なヤツ。
人はそいつを「海」と呼ぶ。