No.1988 沖縄旅行に行くあなたに、知っておいてほしいこと。
「沖縄に興味がある」というだけの理由で、
たまに沖縄についての質問を受ける。
見た目の良さを説明するのは簡単だけど、
その背景にある歴史や感情を説明するのは難しい。
僕らは生まれた頃から
「沖縄は日本の一部」だった世代だから、
「県」であることすら当たり前のように感じる。
でも、多くの人に知ってほしいのは、
琉球という国が、人の欲望や利権によって振り回されてきた
悲しい場所だということだ。
1609年、
独自の文化を誇っていた琉球王国は、
江戸幕府のもと力を強めつつあった薩摩藩(島津氏)に侵略された。
侵略の目的は「貿易利益の搾取」。
表向きは琉球王国の独立を認めつつも、
薩摩藩は貿易利益を搾取し、琉球の人々に重い税負担をさせ、
そこで得た巨大な利益をもとに明治維新の頃まで力を強めたと言う。
そして、1879年には薩摩が再度侵略をして
琉球王国は事実上、日本という国の植民地にされた。
太平洋戦争時には、
その日本が勝手に始めた戦争の被害(地上戦)を受け、
終戦したら、今度は日本の繁栄と引き替えにアメリカへ。
長年続いた冷戦時代には
軍事基地の拠点としてアメリカに占領され続け、
ようやくそれが終わると思ったら、
施政権は琉球ではなく日本に返還された。
住民の感覚としては、アメリカの植民地から
日本の植民地にたらい回しされた感じだったと思う。
返還が1972年のことだから、
僕らはこうした複雑な歴史を知らずに
生まれてきたことになる。
知らないのは当たり前だから、これから学べばいいと思う。
最近でも基地問題や教科書問題が続いているけど、
沖縄の人たちは、基地の有無や教科書の表記だけに
怒っているんじゃない。
勝手に占領され、勝手に手放され、
日本なのかそうでないのかも分からないのに、
色んなことを迫られる状態に怒っているのだ。
沖縄に住む人々は、アイデンティティーを放棄してはいない。
それでも、
沖縄を訪れた観光客はたまにこんなことを言う。
「沖縄っていいところですよね〜。
日本にもこんな場所があるなんて」
誉めるつもりで言ったとしても、
現地の人にとってそれは複雑な言葉なのだ。
観光やリゾートで訪れるのもいいだろう。
おいしいものだって沢山ある。
でも、もしもこの夏に訪れる人がいるなら、
1人でいいからおばぁの話を聞いて帰ってきてほしい。
こんな拙い僕の説明より、
感じるものが必ずあると思うから。
最後に。
僕が「沖縄に興味がある」と公言しているのは、
単に「好き」という意味ではなく、
「その素晴らしさに触れたいなら知らなければいけない」
という自戒を込めた意味であることを、ここに記しておく。