No.1969 仲間がゲームをやめた理由

小学生、まだ低学年の頃。
よく遊んでいたツレの家に
「インベーダーゲーム」があった。

昔はよく喫茶店やゲームセンターに置いてあった机サイズのやつで、
なぜそれが家にあるのかは不思議だったけど、
タダでゲームができるからとにかく毎日遊んでいた。

侵略してくる宇宙人を撃って倒す。
今思えばシンプルなルールだけど、
時間を忘れて夢中になるくらい面白かった。

ただ、だんだんゲームをするのが
ツレと会う目的のようになっていて。

それに気づいた瞬間、何かが嫌になって、
インベーダーゲームで遊ぶのをやめた。

数年後。

ファミコンが発売された時、
近所の友だちが買ったから
みんなでそいつの家に遊びに行った。

スパルタンX、ロードランナー、ベースボール、
アイスクライマー、バンゲリングベイ…etc.。

初めて遊ぶファミコンはめちゃめちゃ面白くてね。
しばらくは、そいつの家が放課後の集合場所のようになった。

でもある日、
インベーダーゲームのことを思い出した僕は、
やっぱりだんだん何かが嫌になってきて。
やがて、そいつの家に行くのをやめた。

親の方針もあったけど、その後も僕は
ファミコンを買ってもらおうとはせず、
家の前にある高架下の空き地で
野球好きの友人と2人で毎日試合をして遊んだ。

そしてまた、数年後。

あいかわらずファミコンのソフトは
どんどん発売されていたけど、
誰かの家に集合するようなイベントは少なくなっていた。

逆に、
ずっと2人だった野球のメンバーが4人、5人と増え、
気がつけば、僕の家の前の空き地が集合場所になっていた。

あの時、みんなも何かが嫌になったのかな?

理由は聞かなかったけれど、
日が暮れるまで大声を出してボールを追いかけていた
みんなの顔は、今でもずっと忘れられない。