No.3806 はじめての大腸検査

今日は休みをもらい、朝から飲んだくれている。

お酒、ではなく、
モビプレップとかいう“腸管洗浄剤”を。

そう、
先月からおなかが痛むので、
色々あって「大腸内視鏡検査」を受けてみることにした。
もちろん、初めての体験だ。

数日前に病院で手渡されたのは、小さな下剤と、
やたらと大きな腸管洗浄剤(2L)。

前夜に下剤を飲み、
当日の朝から大量の洗浄剤を飲んで
腸内をきれいにする必要があるらしい。

説明書にあったルールはこうだ。

まず、1時間かけて洗浄剤1Lを飲む。
その後、今度は500mlの水を飲む。
また30分かけて500mlの洗浄剤を飲んで、
その後250mlの水を飲む。

この段階でだいたい平均7回ぐらいの
排便が起こるらしいが、うまくいかない時は
さらに残り500mlの洗浄剤を飲むことになる。

今朝、起きてから洗浄剤を机の上に置いてみたけれど、
で、デカい…。安物の焼酎並みのサイズだ。

排便を促進するために、とにかく数時間かけて
これを飲み干さなければいけないので、
まずは8時過ぎから洗浄剤を飲み始めた。

初めて洗浄剤を飲んだ感想としては、
思ったよりも甘かった。

三流メーカーが発売したスポーツドリンクのような
変な甘みを含んだ液体。
それでもまぁ、思ったよりはまずくなかったので、
チビチビと少しずつ飲み続けた。

30分後。
さすがに味に飽き始めてきたが、
まだたったの500ml。先は長い。

「あ~、味をかえたい」はと思うものの、
そもそも食べてはいけないので、
ただただ洗浄液を飲み続けるだけ…。

45分を過ぎたあたりからは、
徐々に言葉がなくなってきた。

いや、どれだけ好きな酒でも
おつまみもなく1時間ぐらい
ひたすら同じものを飲み続けていれば、誰だって飽きる。

舌が感じる甘みに若干吐きそうになってきたけれど、
今は上の穴から出している場合ではない。
とにかく、下の穴から出さねば…。

気をそらすために何度も説明書を眺めつつ、
なんとか1時間で1Lの洗浄剤を飲み干した。
  
  
 
 「よし!水が飲める!水が飲めるぞ!!」
  
 
 
こんなに水が飲みたくなったのは久しぶりだったけど、
とにかく口の中の変な甘みを早く無くしたかったので、
洗浄剤を飲み干すやいなや、すぐに水を飲んだ。
 
 
 
 「くぅぅ~、うまい!」
 
 
 
ウイスキーで言えばチェイサーのようなものだが、
洗浄剤のインターバルの間に飲む水の味は
例えようのないほど爽やかなものだった。

しかし、そんな楽しい時間はすぐに終わり、
30分後にはまた洗浄剤のドリンクタイムが始まった…。

このぐらいになると
頻繁に便意をもよおすようになってきて、
だんだんと出るものも少なくなってきた。

説明書に書いてあるルールを見ると、
「ほぼ透明な水様便になれば、途中でもゲームを終了してOK」
とある。

透明な水様便、か…。
初めて聞いた言葉でいまいちイメージができないけれど、
お尻から岩清水のような美しい水が出ればクリア、
ということだろうか?

自身の便の色が無色になるまで、
がまんして洗浄剤を飲み続けた。

気のせいか、だんだんとゲームに慣れてきて、
まるでキッチンドランカーのように
台所で洗浄剤をチビチビ飲みながら
洗い物を済ませる余裕も出てきた。
 
 
そして、開始から2時間。
洗浄剤1.5Lと水500mlを飲み干したぐらいで、
トイレの回数は目安である7回目に達した。
 
 
 
 「もしかして…、そろそろクリアか?」
 
 
 
トイレで用を足すと、さすがに何もブツは出なかった。
そのかわり、ゲームの終わりを告げる
岩清水のような液体が尻からあふれ出した。
感動のフィナーレだった。
 
 
 
 「お、終わった~!」
 
 
 
なんという達成感。
ものすごいことを成し遂げた感じがして、
頭の中では「情熱大陸」のエンディング曲が流れていた。

こうして、無事腸内洗浄は完了した。
今から病院に行って、もう一試合してくるぜ。
それはまた、別のおはなし。