No.4662 ヒートテックさん

――みなさん、こんにちは。
  「真冬deトークしょー!」のお時間です。

  本日のゲストは、もはやこの方なしに
  冬は語れないと言ってもいいでしょう。
  「ヒートテックさん」です!

  ヒートテックさん、よろしくお願いします。
 
 
 
「こちらこそ、よろしくお願いします」
 
 
 
――ヒートテックさんといえば、
  日本の防寒着に
  革命を起こした存在として有名ですが、
  ご自身でもその自覚はありますか?
 
 
 
「ええ、偉そうな言い方ですが、
 日本の冬を変えた自負は持っていますね。

 私が登場するまで、
 日本の防寒アンダーウェアといえば
 モモヒキやタイツが主流でしたが、
 今は老若男女を問わず、
 多くの人が私のファンですからね」
 
 
 
――まさに冬の王様、
  唯一無二の存在と言えますが、
  最近、そんなヒートテックさんにも
  悩みがあるのだとか。
 
 
 
「そうなんです。実は、唯一無二の地位を
 揺るがすような存在が現れてきまして…」
 
 
 
――大丈夫ですよ~。イオンや他のメーカーも
  似たようなポカポカウェアを発売していますが、
  ヒートテックさんのバッタモンであることは
  みんな知っていますよ。
  他社のことなんて気にする必要ないですよ。
 
 
 
「それがですね…。
 他社じゃなく、自社なんですよ」
 
 
 
――自社?と言いますと?
 
 
 
「私の生みの親であるユニクロさんが、
 私の1.5倍ぐらいのポテンシャルを持った
 『極暖』シリーズを発売したんですよ」
 
 
 
――あぁ、そういえば
  最近店頭に並んでいますね。
  私も今履いていますよ。
  あ…、いや、なんでもありません…。
 
 
 
「それだけじゃありません。
 この冬からは、極暖のさらに上を行く
 『ウルトラウォーム』シリーズまで発売を始めて、
 私の人気は一気に3番手にまで急降下、
 今やセール時期以外でも安売り対象に入る始末です…」
 
 
 
――会社の戦略とは言え、それは悲しいですね。
  まぁ、私もウルトラウォームを着ていますが、
  シフトチェンジが急すぎるのも残酷ですよね。
 
 
 
「いいんです…。
 今やヒートテックなんて、
 レトロなブランドなんですよ。

 マクドナルドのチーズバーガーみたいなものです。
 最初はもてはやされたけど、
 ダブルチーズバーガーや
 てりたまチーズバーガーなんかが出てきたら、
 もはや安さしか存在価値がないですからね」
 
 
 
――ウルトラ、極暖が主流になりつつある今、
  ヒートテックさんとしては、
  今後、どうしようとお考えですか?
 
 
 
「最初は、ポジションを替えてみることを考えました。
 得意なポジションは
 トップスやタイツ、ソックスあたりですが、
 いっそのこと『ヒートテック財布』
 『ヒートテックベルト』あたりで心機一転頑張ろうかと。
 でも、やはり自分の良さが活かせない気がして…」
 
 
 
――はい、そこでは絶対活かせないでしょうね。
 
 
 
「今もまだ少し迷っていますが、
 FA宣言するのも選択肢の一つかな、とは思っています。
 ユニクロでは戦力外でも、
 しまむらやイトーヨーカ堂あたりに行けば、
 まだまだ主力商品として
 扱ってもらえるかもしれませんし。
 いくら地位が落ちたからって、
 メルカリで売られるようにはなりたくありませんね」
 
 
 
――そうですか。オールドファンとしては、
  ぜひもうひと花咲かせてほしいですね。
  これからも期待していますよ。
  最後に、みなさんにメッセージをどうぞ。
 
 
 
「ありがとうございます。
 みなさん、店で僕が安売りされていても
 決して哀れな目で見ることなく、
 それこそヒートテックのように
 温か~い目でお願いします!」