No.1593 お義父さんから渡されたバトン

先月末で、うちのお義父さんが定年退職を迎えた。

和食料理人として約40年、
働き続けたその手は化石のように硬く、力強い。
水の冷たさに負けず、火の熱さに負けず、
その手でずっと一家を支えてきたのだろう。

先月会った時、お義父さんに
定年を前にした気持ちを聞いたら、
「ほっとしている」と言っていた。

長年背負っていた何かから解放された瞬間、
男とはどういう気持ちになるのか。
今の僕にはまだ想像がつかない。

明日、家族でお義父さんの定年退職を祝う食事会がある。
お義母さんに、嫁に、義妹。
明日ばかりは、息子も僕も脇役だ。

嫁家族の節目を見守り、
お義父さんからそのバトンを受け継ごう。

これから残すところ約30年、先は長いけどがんばるか。
この手の平が硬くなるまで。