No.1134 都会の街は変わるけれど
駅前にあった交番が、
いつのまにかスターバックスにかわっていた。
その隣に、新しい交番ができていた。
警官は、古いままだった。
人は急に変われない。
急に新しくは、なれない。
交番の前にいつもいた
ホームレスのおばあちゃんの姿は消えていた。
代わりに、派手なコスチュームを来たおねえちゃんが、
新商品らしき化粧水を配っていた。
人は急に新しくなれないのに、
街は新しくなった途端、新しくないものを排除する。
あのおばあちゃんは、今どこにいるんだろう。
そして、どんな景色を、どんな目で眺めているのか。
青信号をしめす電子メロディが流れ、
アスファルトを蹴りつけるような革靴の音が
交差点に鳴り響く午後。
昨日とあまり変わらない自分が、
少しだけ怖くなる。