No.2881 大人の「おしくらまんじゅう」
冬は寒い。
当たり前のことなんだけど、
どことなく雰囲気までも冷たい気がする。
服を重ねるせいか、みんなみんな、
自分の熱をコートの中に閉じこめて、
足早に過ぎ去って行って。
唯一、
通勤途中の満員電車の中だけ
人肌の温もりを感じる。
小学生の頃、
この時期になると
「おしくらまんじゅう」が流行った。
ルールは簡単。
お尻で押し合うだけである。
それだけで、ポカポカと体が温まった。
あの温もりは、きっと
友だちの体温のポカポカだったんだな。
大人になると、
なかなか人の肌に触れたりはしない。
そりゃ寒いはずだよ。
みんな寒いと思っているなら、
もっと触れあえばいいじゃん。
そう思うと、
混み合った電車の光景が
いつもより優しく見えた。
満員電車って、
大人のおしくらまんじゅうだね。温かい。