No.4161 焼けた首里城


首里城…、
もう、本当に言葉が出ない。

僕が初めて沖縄を訪れたのは、今から四半世紀前。
大学の社会学のフィールドワーク調査で
本島を経由して久高島を訪れた。

那覇空港に到着してすぐバスに乗り、
島までのフェリーが出ている恩納村の乗り場に向かったから、
本島はバスから眺める程度。
あとは神の島で数日間、異次元の生活を満喫した。

島での調査が終わってフェリーに乗った時、
僕は一定の満足感とともに
どこか気後れするような感じがしていた。

初めて沖縄に来たのに、
基本を飛ばして
応用だけ先に味わってしまったような。

現地解散だったこともあり、
空港から帰る同級生をよそに
僕は仲の良かった友人と一緒に
もうしばらく那覇にとどまることにした。

沖縄を訪れた以上、どうしてもこの目で
見なければいけないものがあったから。
そう、それが首里城だった。

ご存じのとおり、首里城は
戦時中に一度焼失しているけれど、
ちょうど僕が訪れる数年前、
沖縄本土復帰20周年を記念して見事に再建された。

友人と首里城を訪れた時、
不思議だけど、初めて
「ああ、やっと沖縄に来たな」と実感した。

テレビとかでもよく見ていたから、
本土に住む僕たちにとって首里城は
言わば沖縄のシンボルだったからね。

現地の人にとってもそれは同じのようで、
売店のおばさんたちが
「本当にきれいでしょ〜、見ていって」と
うれしそうに自慢してきた。

子どもの頃から城には慣れ親しんできた僕だったけど、
首里城はちょっと別次元の雰囲気があった。
厳かで迫力があるけれど、
それでいて柔らかく華やかな感じ。
 
 
 
 「すげぇ〜、これが琉球王朝の文化かぁ」
 
 
 
ただただ雰囲気に圧倒されたまま、
当時持っていた一眼レフで、
何枚も写真を撮って本土に帰った。

その後は嫁を連れていったぐらいで
あまり訪れていなかったけど、
「いつかあの感動を我が子たちに」と思っていた。

それだけに、今回の火事はショックが大きすぎる。
世界遺産にも認定されたあれだけの建物が
また焼失してしまうなんて…。

首里城は沖縄復興のシンボルでもあった。
それを失くしてしまうなんて、
いったい神様はどれだけ
沖縄に試練を与えれば気が済むんだろう?

詳しい原因はまだわかっていない。
「突然すぎて、再建はまだ考えられない…」と現地の人は話す。
それでも、生きているうちに再び
あの朱色の城が見られることを信じたい。

沖縄は負けない。絶対に。