No.1932 世界一の根回し
野球の世界大会WBCが行われていた時、
途中で村田という選手がケガで欠場し、
急きょ広島東洋カープの「栗原」という選手が招集された。
突然呼ばれた栗原選手は、
翌日にはアメリカで合流したんだけど、
「がんばれよ」と思う前に
「よくそんな急に行けたな」と感心してしまった。
だって、海外に行くには
当然だけどパスポートがいるわけだ。
もしも僕が急に招集されていたら、
パスポートの期限が切れているから行けなかっただろう。
あと、栗原選手もいい大人だし、
それなりに予定もあったはず。
「彼女とのデートの約束」とか、
「どうしても行きたい同窓会」とか、
「自分が司会をする結婚式の2次会」とかの予定があったら、
どうしたんだろう?
「お国のための緊急招集」という言葉だけマスコミで騒がれて、
Noという選択の余地さえないムードに違和感を感じた。
招集されたから行くのが当たり前ではなく、
人間なんだから断る可能性もあっただろうに。
そんなことを色々想像していたので、
「よくそんな急に行けたな」と感心してしまったのだ。
まあ、もしかしたら原監督も
事前に根回しをしてたのかな。
原 「もしもし〜、栗ちゃん?」
栗原「あ、どうも。お久しぶりっす!」
原 「今からアメリカ来れない? 何か予定ある?」
栗原「あー、金曜日っすよね〜。その日は広島でデートがあるんすよ」
原 「そっかー。そうだよねー。花金だし、急だもんね。
松中か金本に声かけてみよっかな〜。
でも、試合は土日だし、
土日はアイツらも家族サービスがあるだろうしなぁ」
栗原「そうですよね。わかりました。ちょっと彼女と調整してみますわ」
原 「え? 大丈夫? ごめんね〜」
こんなやりとりの末、
栗原選手がアメリカに行っていたのなら、
それはそれで微笑ましいなぁ。
世界一になった裏には、
世界一の根回しがあったと信じている。