No.1987 「フルーチェ」はうまいが、思い出は苦い
昨日、晩ご飯の用意をしているついでに
「フルーチェ」を作った。
たまたま台所の戸棚にあったので。
久しぶりに食べたけど、うまいねー。
牛乳だけであんなにうまいデザートができるなんて、
どこのメーカーか忘れたけれどあっぱれだ。
「この味、懐かしいなぁ」
食べた後、
フルーチェの空き箱を見ながら、
しばらく思い出に浸ってしまったーー。
たしか、3歳か4歳ぐらいの頃だったと思う。
オカンがたまに作ってくれるフルーチェが大好きだった。
でも、まだ背の低かった僕は
台所でオカンが何かをしていてもよく見えなかったから、
フルーチェがどうやってできるのかなんてまったく知らなかった。
そんなある日。
オカンと姉が少し買い物にでかけている間、
僕は家で一人、留守番をすることになったんだけど、
とにかくおなかがすいていてね。
しばらく戸棚をあさると、
なんと「フルーチェ」の箱が!
「わお!」と思ったけど、幼い僕には
どうやって作るのかなんてまるでわからない。
でも、我慢ができず、
僕はそのままビニールの袋に入っていた液体を飲み干してしまった。
(それなりにうまかった記憶がある)
それから数分後。
オカンと姉が帰ってきたんだけど、
フルーチェの袋をちゅーちゅーしている姿を見るなり、
オカンは思いっきり僕をビンタしてベランダに放り出した。
今でも鮮明に記憶が残っているということは、
相当な衝撃だったんだろうね。
とにかく、泣いて泣いて泣きまくった。
今でもフルーチェを食べると、
狭い社宅の台所の光景と、
ベランダで泣きながら呼んだオカンの背中を思い出す。
ある意味で、お袋の味なのかもしれない。
とりあえず、僕のDNAを継いでいる息子には
「フルーチェはうまいけど、そのまま飲むなよ」と
言い聞かせておいた。
息子はただ、
「おいしーねー♪」とご機嫌で食っていた。