No.2431 飲食業界で生き残る方法
コーヒー1杯100円。安い。
牛丼1杯250円。安い。
飲食は日常的に行うものなので、
料金が安いと消費者としては助かる。
でも、飲食業界の皆さんにとっては、
たまらないんだろうなぁ。
実際、飲食業界で働いている友人は、
安い、早いが主流になっていることを嘆く。
お客さんにじっくりと食を味わってほしくて、
その職に就いた人なら当然の意見だろう。
でも、飲食業界の人も
ちゃんと直視しなければいけないのは、
世の中が、今を生きる人間の感覚が
大きく変わりつつあるということ。
ただ美味い料理を作っていれば、
お客が向こうからやって来てくれる時代でもないし、
「時間を楽しむ=外食に行こう」という感覚も、
昔よりも薄れてきた気がする。
そんなことよりも、
今を生きる人が大切にしているのは
「気を遣わない時間」や「自分らしさ」だと思う。
個室を設けるだけで
気を遣わない時間を提供する時代も、
もう終わった感じがする。
また、
自分らしさを求めてかどうかは知らないけれど、
既製品を買うよりも
自分でオリジナルの物を作る人が昔より確実に増えた。
もちろん、それは食にも言えることで、
今では料理を趣味にする男だって珍しくない。
僕は料理が得意じゃないけど、
店で食べるより、
自分で振る舞う方が楽しい気持ちはよくわかる。
作れないにしても、
コンビニで自分なりに色々と商品をチョイスして
公園で仲間とミニ宴会をやる方が楽しいだろう。
それこそ、気を遣わない時間が過ごせるし。
僕は、あまり外食店舗にこだわりがない。
それは、出てくるものが完成された商品だから。
プロの料理人が作ってるから美味いんだけどね、
それでも、自分以外の誰かが作った以上は
既製品を食べている感覚があって、ちょっとつまらない。
店の人にも気を遣うし。
もしも、僕と同じような人が増えつつあると仮定するなら、
外食店舗におすすめしたいのは
サービスのマイナーチェンジだろう。
食を提供することをサービスとするのではなく、
食を作る楽しさをサービスとする、というか。
保健所の手前、お客を厨房に立たせるわけには
いかないのかもしれないけれど、
それに近い感覚を提供できる店は、今後流行ると思う。
また、気を遣わない時間を提供するという意味では、
店舗で働く人の人付き合いも
重要になってくるかもしれない。
まるで自分の友だちが店にいるかのような関係を、
どれだけたくさん築きあげることができるか。
そのためには、店舗の営業時間を削ってでも、
従業員にもっと外との交流を図らせないとダメなのかも。
ご存じのとおり、僕の義父は料理人だけど、
お義父さんの話からも
外食店舗におけるコミュニケーションの大切さは感じる。
外食業界にいる人にしたら、
お客に自分らしさを渡すのなんて
自分を捨てるようでプライドが傷つくのかもしれない。
でも、「変わる」ということは
「捨てる」のとはまた違う。
時代は必ずまわるから、
今のニーズを満たせば、いずれまた、
「やっぱ料理人が作る料理って最高だな」と、
じっくり食と時間を味わう人が増えてくるはず。
そうすれば、コーヒー100円の時代だって
昔話のように笑い飛ばせる日が来るさ。
外食店舗には、少し変わってほしいけど、
大切な部分は変えないで頑張ってほしいなぁと切に願う。