No.2689 川の流れのように

朝焼けの空 夕立前の雲

遠い未来を 眺めては見えず
近い欲求のままに ただ生きる

10年前 
今日という日はまだ
「将来」や「いつか」という 曖昧な名前で

その手で数えれば
「いずれやって来るだろう」という
カレンダーに描かれた数え唄でしかなかった

そして 実際に
今日という日がやって来た時

僕は何をしているかといえば
またぼんやりとした物足りなさを感じながら
見えない明日を探している

毎日のニュース SNSを飛び交う言葉

あの世に行った気分など分からないまま
この世が動いていくままに ただ歩く

10年後
今日という日はすでに
「昔」や「あの頃」という 古びた名前で

その手を胸に当てれば
「あんなこともあったな」という
アルバムの中の昔話に変わっているんだろう

そして 実際に
未来という日がやって来た時

僕は何をしているかと想像すれば
また過去の光だけを頼りにしながら
一寸先の暗闇を照らしている

笑ったり 泣いたり
人の心は変わるのに

時や暦
変わらない物差しの中で
人は 同じ後悔を繰り返す

随分会っていないけれど
最近の君はどう?

それでもいいだろう
それでいいんだよ

川は変わりなく流れていても
その水は絶えず 姿を変えながら
生きている