No.1321 スーパースター SHINJO

できることは、できると言うけど、
できないことは、できないと言う。
だから僕は凡人なんだね。
 
そういう意味で、
アンタ、やっぱスターだよ、新庄さん。
 
満塁ホームランを含む2ホーマーを打ってから、
ヒーローインタビューのお立ち台で
突然「引退宣言」をしたプロ野球のSHINJO選手。
 
いつも調子のいい感じで周囲を驚かせてくれる彼だけに、
「またえらいサプライズをやってくれたなぁ」と思ったけど、
意外にも、彼の表情は真剣だった。
 
「前ならとれていたボールがとれなくなった」という
彼の弱音を聞いて、驚いたのは僕だけではないはずだ。
 
でも、よく考えれば、そうだよな。
 
いつも明るくパフォーマンスが派手なだけに、
ついつい、悩みなんてなさそうな印象を抱かれがちだけど、
大胆な発言をするには、その分、野球で力を発揮しなきゃいけない
「プレッシャー」があったはず。
脳天気な人間を演じてはいたけれど、
そんな彼も、やっぱり陰で自分と闘っていたんだ。
 
シーズンが開幕して間もないこの時期の発表には
賛否両論があると思うけど、
これまでの感謝の気持ちもこめて、
SHINJOの発表に拍手を送りたい。
 
 
 「今年、どんどん僕を見に来てください。
  もしかしたら、これまでで一番いい成績が残せるかも」
 
 
ファンにそう言った彼は、引退宣言の翌日、
大観衆の前でまたホームランを打ってみせた。
 
有言実行。
こんな難しい言葉は、彼には似合わないかもしれないけど、
「そんなアホな」という大胆発言を本当に実行して周りを驚かせる、
SHINJOってそんな男だよね。
 
何かをやる前に、「できる or できない」を
自分で判断してしまう大人が多い中で、
「できる、いや、やってやるさ!」と先に宣言しておいて、
舞台裏で絶ゆまぬ努力をしてきたSHINJO。
 
アンタ、やっぱり本物のスターだよ。
 
でもやっぱり、
そんなスターが球場からいなくなるのは、さみしいよ。