No.1251 「2人が別の道を歩く」という幸福論
東京行きの新幹線。
トンネルを抜けると同時に
窓の外に広がる雪景色。
晴天に輝く純白の下で、
息を潜めた大地が沈黙の美を語りかける。
さっき歩いてきたアスファルトの街には、
雪の姿も、大地の表情もなかった。
同じ日本なのに、ちがうなぁ。
今日、この時間、
君はどこで何をしてるのか。
僕とはまた違うものを見て、感じて、
自分の日記に綴っていくのかな。
そうだ。
ねぇ、その日記、
ちょっと見せてよ。
僕のも見せるからさ。
そして、いつかは
おたがい自分の日記を見せあうんじゃなく、
ふたりで1冊の交換日記を作ろうよ。
君の出来事に僕が感想を書いて、
それにまた、君が感じたことを書くような。
毎日会って話せたら幸せだけど、
お互いの道が違うことは、
決して不幸なことじゃない。
二つある人生を持ち寄って、
会えない時間を楽しもうよ。