No.3857 大きな地震があってから、初めての夜

地震発生後、初めての夜。
なんとも不気味な夜だった。

JRが復旧しないので私鉄を乗り継ぎ、
途中からは車を走らせて
なんとか家に着いたのが22時過ぎ。

夜空を見上げると、とても静かだった。
 
 
 
 「そっか、飛行機も運休か」
 
 
 
普段は夜になると山の上空を
数分ごとに飛行機が行き交う。
あまり気にしていなかったけど、
飛行音も聞こえていたんだろうな。

その音がしなくなった途端、
夜空が静まり、ただの黒になった。
なんとなく不気味だった。

 
自宅に帰ると、珍しく
息子と娘が並んで寝ていた。
やっぱり余震が怖いらしい。

夜中、大きな余震が数回あって、
案の定、娘は泣きわめき、息子は爆睡していた。
僕も娘の声で何度も起こされて、
寝不足のまま夜明けを迎えた。
 
 
発生2日目となる今日。

電車もほぼ復旧に近づき、
いつもの通勤風景が戻りつつあった。

ただ、それも不気味だった。
「あんなに大きな地震があったのに
 みんな、すぐに仕事するんだ…」って。
暗黙の何かに囚われているような、この国の闇を感じた。

もしも昨日の地震がプロローグで
次に来るのが本震なら、僕はどうするんだろうな?

世間体を保って、
社会人として仕事に向かうのか。
それとも一家の主として、家を守るのか。

価値観の選択が迫られている。
今まで頭や口だけだったことが、リアルに。

前向きに捉えれば、
今後のためにも必要な経験だと思う。
焦らず、じっくりと考えよう。