No.1546 深夜探偵 my ホームズ

     『深夜探偵 my ホームズ』

深夜1時。

夜も遅いのでそーっと家の扉を開けると、
真っ暗な玄関に
リビングにあったはずのゴミ箱が転がっていました。

  「!? な、…なぜこんなところに?」

不審に思い、そのまま足音をたてずに廊下を歩くと、
またつま先に何かが当たりました。

  「こ、これは…、コルクボードに貼っていた写真!?」

空き巣だ、空き巣に違いない。

そう悟った深夜探偵 my ホームズは、
右の拳を握りしめ、
勇気を出してリビングの電気をつけたのです。

すると…

  「ああ…、嗚呼っー!」

なんということでしょう。

アンパンマンが無惨にもクッションの下敷きにされ、
そのクッションの上にはくしゃくしゃになった絵本が…。

その瞬間、
深夜探偵 my ホームズはひらめきました。

  「はっはぁーん、わかったぞ。犯人はアイツだ!」

廊下を逆戻りし、
寝室の扉を静かに開けると…、
いました。犯人が。

きっと、
“走って逃げる態勢”のまま眠ってしまったんでしょう。
犯人は、
布団を蹴っ飛ばして妙な格好で熟睡していました。

ついでに、
犯人を追いかける途中で力尽きた模様の女性も、
近くでぐっすり眠っていました。

  「フッ、犯人よ。犯行の動機は明日の朝聞こう。
   今日はとりあえず眠れ。(夜泣きはするな)」

深夜探偵 my ホームズ。
彼は優しい探偵です。

今からゴミ箱や写真を片付けて現場検証を終えた後、
お皿を洗ってから眠るそうです。