No.5054 イキリーマン ~キックボード編~

前まではあまり見なかったのに、
最近、街でよく見かけるようになったものがある。
 
ズバリ、「キックボード」だ。
 
数年前に海の向こうから
流行がやって来た時には
国内で色んな批判もあったけど、
今ではわりと普通に
利用者を見かけるようになった。
 
僕が働いている街が
比較的都会なこともあるんだろうけど、
海外観光客だけでなく、普通にリーマンが
移動手段として利用していることも多い。
 
 
だけど、
長年日本の特殊人材について
研究を続けてきた僕にはわかる。
 
スーツでキックボードを利用している若い男子、
彼らはほぼ間違いなく「イキリーマン」だ。
 
ある意味、日本で普通の社会人が
キックボードを日常利用するには時期尚早、
まだ少し早い段階だ。
 
でも、イキリーマンというのは
むしろそんな目立つ状況にこそ
興奮を覚える生物なので、
「本格的に定着する前にやってみた」感が強い。
 
そして、そんな下心が
誰からも透けて見えるからこそ
イキリーマンはダサいし、笑えるのだ。
 
 
この間出会ったイキリーマンは
なかなかすごかった。
 
スーツに革靴、
何やらノベルティっぽい物が入った紙袋を
キックボードのハンドルにひっかけて、
車道を快走する男。
 
その両耳には大きなヘッドフォン、
右手にはスタバのドリンクが。。。
 
もしも僕が彼の上司なら、
「いや、音楽もお茶も、
 営業から帰ってきてからやりや!」
とツッコみたくなっただろう。
 
でも、さすがにそこはイキリーマン、
周囲の視線が集まれば集まるほど
どんどんテンションが高くなる。
 
ヘッドフォンはBluetoothでつないで
お客さんと電話をしているのか、
ハンドルを操作しながら
何やら「お世話になりまっす!」的なことをつぶやいていた。
 
そして、前向きというよりはスケボー風の
横向きスタイルでキックボードに乗りながら、
商店街の雑踏の中をすり抜けて行った。
 
彼が去った数秒後、さすがに周囲から
失笑が起こったことは言うまでもない。
 
いや~、やっぱりイキリーマンはいいね。
いつの時代も愛すべき生物だよ。
 
今後も都会というジャングルで、
生態の観察を続けたいと思う。乞うご期待。