No.1399 嫁の実家にあった古いアルバム

この間、嫁と息子を迎えに
奈良の実家まで行った時のこと。
嫁と息子が帰宅の準備をしている間、
応接間のソファでぼーっと待っていた。

ふと、横に目をやった時、
何やら古いアルバムがあったので開いてみると、
嫁が赤ん坊の頃のアルバムだった。

言うまでもなく、そこにある嫁の姿は
僕と出逢うまでの姿であり、僕の知らない姿。
お義父さんやお義母さん、義妹も含めた
僕の知らない家族の歴史が1枚1枚写真で残されていた。

買ったばかりの小説の続きを読むように、
1ページ1ページアルバムをめくる。

若草山公園のあおい芝の上で、
ハイジのような服を着てカメラに微笑む嫁。

これを撮ったお義父さんは、
どんな気持ちでシャッターを押したんだろう。

その様子を隣で見ていたお義母さんは、
どんな顔をしていたんだろう。

そして、大きくなってからこの写真を見た嫁は、
どんなにうれしい気持ちになったんだろう。

そんなことをイメージしているうちに、
ちょっぴり涙が出てきた。

1時間ぐらい経っただろうか。
嫁と息子、お義母さんが応接間に入ってきた時、
「時代」というひとことでは言い表せない、大きな時の流れを感じた。

赤ん坊だった嫁は、今、その腕に赤ん坊を抱いている。
お義母さんは、アルバムに写っているあの頃とは
また違う笑顔で微笑んでいる。

手にした古いアルバムの中に、
僕が登場することはできないけれど、
新しいアルバムを作っていこう。

なんとなく、そう思った。