No.1836 健康診断で見かけた女

先週、会社の健康診断で
とある健康センターに行った時の話である。

センターにはよその会社からも人が来ていて、
それなりに混んでいた。

体重を測ったり、視力を測ったり、レントゲンを撮ったり、
みんな決められた順序どおりに進んでいくので、
どの検査でも前にいる人は同じになる。
僕の前の人は、30代後半の女性だった。

これがなかなか、厄介な女性でね。
別に暴れたりするわけじゃないんだけど、
いちいち言葉が多いのだ。

たとえば、視力検査。

先生「はい、じゃあ番号を言いますから、
    円の空いている方向を
    上下左右で答えてくださいね」

女性「えー、私っておっちょこちょいだから、できるかなぁ?
    うん、でも、がんばります!」

先生「…、はい、じゃあ5番」

女性「右、かな? どうだろう? でも、右っぽい」

先生「…、右か左かを答えるだけでいいですからね」

女性「あ、はい、ごめんなさい。
    私、今日ちょっと朝から変で。次お願いします」

先生「7番」

女性「えー、先生いきなり難しいっ。
   もっと簡単なのをお願いしますぅ」

先生「…」

ってな感じだ。
このうっとうしさ、伝わるだろうか?

後ろで待っている僕は、
ずっと拳を握りしめながら座っていた。

極めつけは、医師による問診の時だ。

先生「えーっと、○○さんね、
    最近どこか不調を感じることはありますか?」

女性「え? どうしてわかるんですか?
    すごい先生、まだ何も診てもらってないのに」

先生「あ、いや…、これから診ますよ。
    その前に聞いておこうと思っただけです」

女性「実はね先生、私、最近仕事のやる気がでなくて。
    ミスばっかりしちゃうんです。どこか悪いのかなぁと心配で。
    昨日だってね、」

先生「あの、私は心理はよく分からないので、
    身体のほうだけ診せてもらいますね。
    はい、大きく息を吸って」

女性「ふぅー、あ! ごめんなさい。
    息、吐いちゃった! 吸わなきゃ吸わなきゃ!」

カーテン1枚を越えて、いっそのこと後ろから
跳び蹴りをくらわしてやろうかと思った。

ちなみに、光浦靖子風の女だった。