No.4332 Bucket List


「もしも死ぬなら、その前に何をしたいだろう?」
そんなことを、誰しも一度くらいは
考えたことがあると思う。

日本でも「終活」という言葉が流行し、
ブームや周りの友人に乗せられてか、
うちの親も色々終活するようになった。

数年前、今住んでいる家や土地の資料が
長男の僕に送られてきたのもその一環だろう。

正月に帰った時には、
「どこに墓をたてたらいいか」について
色々意見を聞かれた。
「墓の世話をするのは、結局は遺された方になるから」と。

「生まれ育った実家近くがいい」
と言う親父に対し、
「車の運転ができない自分が
 山奥まで行くのは大変だから近くでいい」
とオカン。

僕としては距離的にどちらでも良かったから
「好きに決めたら?」とは言ったものの、
どうせ親父の方が先に死ぬから
オカンの意見を優先するようには伝えた。

その時、親と話しながら
直感的に感じたんだよね。
「終活って、なんだか面白くないな」って。

なぜ面白く感じなかったのかは、
うまく言葉にならなかった。
初めての感情だった。

その時の感情が、
最近になってようやくクリアになった。

きっかけは、ある映画を観たことだ。
「最高の人生の見つけ方」。

日本版でもリメイクされたらしいけど、
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンという
二大俳優が共演しているオリジナルの作品の方ね。
率直に「いい映画に出逢ったな」と思った。

この作品の原題は
「The Bucket List」(棺桶リスト)。

同じ病室で末期がんと診断された見知らぬ二人が、
残りの人生を楽しむために、
生きているうちにやりたいことを綴ったリストを作り
それを次々実行する旅に出る、という話だ。

この作品を観終えた時、
終活をしている親に対して
僕が感じた違和感の理由が分かった気がした。

日本の終活って、
「やらなきゃいけないリスト」なんだよね。

つまり、他人様に迷惑をかけないことが
まず念頭にあって、そのために
「やらなきゃ」という義務感にかられて行動する。

たぶん、僕はそこに違和感を抱いたんだ。
「一度しかない自分の人生なのに、
他人のことだけ考えて死ぬのか?」と。

映画にあった棺桶リストはそうではなく、
「残りの人生をいかに楽しく生きるか」が大前提にある。
僕にはそちらの方が
人間らしい最期のような気がするな。

ネタバレしない程度に触れるけど、
モーガン・フリーマン演じる主人公が
治療をやめて旅に出ると言った時、
奥さんが止めるんだよ。
「生きるために闘うことを放棄するの?」みたいな感じで。

そして、モーガンも迷う。
個人的には一番印象に残ったシーン。
もしもみんななら、なんと答えるだろう?
人生観によって意見は分かれるところだよね。

僕はきっと旅に出る。
でも、そうじゃない人もたくさんいるだろう。

できれば親にも聞いてみたいな。
近いうちにDVDでもプレゼントしてやろうと思う。