No.2399 久しぶりにおばあちゃんの家を訪ねて

夏休み初日から3日間帰省していたけれど、
そのまま大阪に帰るのも退屈だったから、
親と一緒に京都(南丹市)に住む
おばあちゃんのところまで車を走らせた。
 
よく考えたら
京都のおばあちゃんの所に行っていなくて、
娘が生まれてから一度も会わせてなかったので。
 
 
まずは、親父の実家へ。
 
ケアハウスから一時帰宅しているおばあちゃんは
前より少し痩せていて。
 
でも、
今にも倒れそうで倒れない土壁や、
昭和30年代から使っている扇風機、
窓の外から聞こえるアブラゼミの鳴き声…etc.
時が止まっているかのような独特の空気は
昔と変わらずそのままで。
 
寂しいけれど、人間だけが変わっていく気がした。
 
 
 
軽く挨拶を済ませた後、
次はオカンの実家へ。
 
足腰を悪くしているおばあちゃんは、
座ったまま僕らを出迎えてくれた。
 
娘がまだ生まれて2年だと紹介すると、
「私は昭和2年生まれやわ」と自嘲するおばあちゃん。
その笑顔のしわは、昔よりしわくちゃになった気がした。
 
でも、
かつては旅館だった離れの庭園や、
縁側から見える田園風景、
よく従兄弟と遊んだ川…etc.
畳を吹き抜ける風が心地いい凛とした空気は、
昔と変わらずそのままで。
 
やっぱり、人間だけが変わっていくような気がした。
 
 
 
なんとも言えず物思いにふけりたくなって
一人で辺りを散歩していたら、
道端に「竹製の行灯」がずらっと並べられていた。
 
麦わら帽子をかぶって行灯を並べていたおじぃ達に
「これ、なんですか?」と聞くと、
おじぃ達は笑ってこう教えてくれた。
 
 
 
  「今日は村の夏祭りがあるから、
   みんなで夜に灯りを点けるんよ。
   ここからずーっと灯りがついたらきれいやで〜。
   兄ちゃんも見て帰りや」
 
 
 
村に若者がいないから
おじい達が祭りの準備をしていたんだろうけど、
その表情は、まるで子どものように楽しそうで。
 
時が流れるにつれ、
人間は歳をとり、身体もどんどん弱っていく。
でも、変わらない心だってある。
 
 
散歩から戻り、
おばあちゃんに行灯のことを話すと、
年に1回の夏祭りを楽しみにしていた。
 
なんとなくほっとして、
僕は夜を待たずに大阪に戻った。