No.791 家族という存在

先週の夏休みに、久しぶりに実家に帰った。

昼過ぎに車で到着し玄関を開けると、姉の子どもの優太郎が
「待ってました」とばかりのハイテンションぶりでお出迎え。

そっか。
両親、姉夫婦、優太郎、そして僕と、
家族全員が揃うのは初めてだったっけ。

荷物を置いてから、
しばらくオカンに近況を報告させられ、
優太郎に携帯電話カメラの使い方を教えさせられた。

なんとものんびりした時。心がゼロに戻る。

夕方を過ぎた頃、親父が帰宅。
姉の旦那と僕だけ先に食卓に集められ、
有無を言わせずグラスにビールが注がれた。

 「なんや、Mくん(=旦那)は酒飲めへんのかいな。
  まぁ、飲め。S史はワシの子やから強いやろ。」

いつになく嬉しそうな親父の顔。
孫がいるからか、娘の旦那が来たからか。
それとも珍しく息子が帰ってきたのが嬉しかったのか。
ま、全部なんだろうけど。

焼き肉を食いながら、酒がガンガン進んだ頃、
親父が突然こんな話を始めた。

 「ワシはあと50年生きるつもりやったけど、
  酒も弱くなってきたし、あと20年ぐらいかもしれん。
  ええかS史、おまえは長男やから、
  ワシが死んだらお母さんの精神的フォローはせぇよ。
  金銭的フォローはワシの保険金で十分やからな。」

酒の勢いで出た遺言。

その言葉をかき消すように、
優太郎が大きな声でキャッキャッと騒ぎ出した。

何かを残そうとしている親父に、
何も考えず楽しそうに笑う孫。

その間にいる僕は、
何を考え、何をするべきなのか。

答えはよく分からなかった。
でも、3世代が揃うこのシーンを、
いずれまた思い出す時が来る。
それだけは分かった。

家族、家族か…。

実家に帰ると、いつも「家族」を感じる。
それはとても当たり前のことなんだろうけど、
幸せなことだと思う。

オカンは、僕の大阪での活躍ぶりを聞かない。
気にするのは、健康状態ばかり。

親にとって幸せなこと。
それは、一人ひとりが
健康に生きているというシンプルなこと。
よく考えれば、子どもにとって幸せなことも同じだ。

時々自分にムチを打つ。時々何かに疲れる。
そんな時にはいつもこう思うのだ。

裕福でなくても、ちっぽけでも、
生きてさえすれば、幸せに思ってくれる人がいるんだと。

それが、家族なんだと。