No.2827 娘の初恋!?

僕は娘にやさしい。

というか、
ほぼ無条件降伏に近い。

英語で表現するなら
「Love is blindness.」、
擬態語で表現するなら、
「デレデレ」である。

そのおかげか、先日娘が発表した
「家族の中で好きな人ランキング」では、
母親をおさえて堂々の1位を獲得した。
父としては、悲願の目標達成である。

ただし、その時は僕に、

  「だって、おとうさん、だいすきやも〜ん♪」

とすり寄っていたけど、
あとで嫁に

  「おとうさんは、
   わたしにはおこらへんからねっ」

と得意気に自慢していたあたり、
やはり女はしたたかな生き物だと実感させられる。
家族全員に「あなたが1位よ♪」と言っている
という噂もあるが、あえて耳をふさいでおこう。

そんなわけで、娘の手の平の上で
なんとか「家庭内第1位」を獲得した僕だけど、
娘いわく、全体ランキングの中では第2位、らしい。

「おいおい、どういうことだ!?」
と娘に問いただしたところ、1位は
幼稚園の英語の授業でたまにやって来る
「サム先生」だと言うのだ。

サム先生、いや、
この際サムと呼び捨てにするが、
サムがなんぼほどの人間かは知らない。

外国人だからそれなりに背も高く、
鼻も高いんだろう。
なんとなくサムは、
ディカプリオっぽいイメージもある。

でも、たまにやって来る外国人に
娘のハートを奪われるとは…、
はっきり言って悔しい。悔しすぎる。

娘に理由を聞くと、
どうやらサム先生が教えてくれる英語や、
英語の歌が楽しいらしい。

 「いかん…、この娘は非日常の楽しさに
  惑わされているだけなんだ。
  サムが好きなのではなく、
  未知の雰囲気に魅了されているだけなのだ…。
  そうなんだ、そうに違いない、絶対そうだ!」

と、心の中で自分に言い聞かせてはみるけれど、
サム先生が来る前の日、娘はいつも
「はぅ、あー、ゆー?(How are you)」などと
口走りながら、楽しそうに英語のダンスを踊っている。

所詮、現時点で負けは負けである…。

くっ…、こうなったら
父も英会話教室に通うか。

いや、相手の土俵で勝負してどうする?
そんなもの、松岡修三と
ハイテンション対決をするようなものだ。
父親たるもの、
もっと“大〜きく”どっしりと構えなくては。

よし、一度サムを自宅に呼んで
日本酒でも呑みながら、どの程度娘のことを
本気で考えているのかを聞いてみよう。

酒の勝負なら負けないだろう。

吐くまで酔わせて、
「オトウサン、オジョウサント、
 モウ、アイマセン…」と言わせるのだ。

う〜ん…、アカン、小さいな…。