No.3138 親父の手術前日

しとしと降り続く雨の中、
兵庫の山奥にあるコンビニの駐車場に車を停めて
このおはなしを書いている。
 
仕事を終えたら、
今日はこのまま実家に帰る。
 
明日、親父が手術をするので、
運転免許のないオカンを送迎するのと
医師から説明を聞くのが僕の役目だ。 
 
長男だからね、一応。
こういう時がなければ、
一切自覚もしないけれど。
 
 
今日は急ぐ理由もないし、
ここからは下道で帰ろうか。
 
大丈夫。
 
子どもの頃、
助手席から何度も眺めた道なので
道案内は体が覚えている。
 
 
 
 「俺も運転席から眺める年齢になったか…」
 
 
 
親父は病院にいる。
僕は仕事帰りの車を走らせる。
いつのまにか月日は流れたんだな。
 
今日の雨は霧のようだ。